2008年9月29日月曜日

鳥の劇場 料理昇降機

27/09/2008 マチネ

鳥の劇場、初の訪問。
鳥取空港からタクシーで20分。らしい。僕は空港から「鳥取大学前」駅まで徒歩20分。単線2両の汽車(ディーゼルエンジンの音がした)で3駅15分の浜村駅。送迎マイクロバスで15分。
すごくいい感じの小さな城下町の街並み、いい感じの劇場。近くに温泉も沸いてる。

幼稚園のお遊戯場を改造したスタジオ、まさに小劇場で、広さもタッパも丁度良い。ちょっと間口が広いけれど、80人収容の立派なスタジオである。近隣から車でいらしてる方も多くて、客層も幅広い。東京の「その筋の人率の高い」劇場に較べ、幸せ度の高い空間。

さて、ピンター27歳の時に書かれた「料理昇降機」、ボスの指示を待つ二人の恵まれない殺し屋を鳥の劇場主宰中島氏の演出で。

悪くない。冒頭、2人が出てくるときの、何ともキャラクターを出してるのか出してないのか分からない、細かな動きは、特に、良い。

が、この間静岡で観た、まさに伸びやかで屈託のない幸せな「剣を鍛える話」と較べると、屈託に満ちた、そして、解釈の加わった、演出だったと思う。それは、戯曲の可能性を狭めていたと思う。2人の殺し屋とボスとの関係を「上下の階層」に還元してしまうのは、物語としては分かり易くなり、近年の「グローバル化の弊害」「格差の固定化」とのリンクをつけやすくすることは出来ても、逆に、観客の考える余地、役者の動く余地も狭めていないか。

その点、この間DVDで観たIn Bruge は、ボスと2人の殺し屋の関係に(必ずしも明示的でない)ひねりを入れて、表面上同じテーマであってもより上手だった気がする。

芝居には注文をつけるが、鹿野にいて、そこから世界を観た感覚が舞台に投影されているならそれも良し。東京の小さな小屋で観るのとは明らかに違う味わいがあって、それは黒磯のACOAのアトリエでも感じたことなのだが、こういうところにくると、「場」としての演劇を強く感じざるをえない。それになんだか、1人で観に来ていることが、とてつもなくさびしいことと感じられる。今度は嫁さんも連れてきたい、来れたらいいな。本気で思ったことである。

0 件のコメント: