20/09/2008 16:00
打ちのめされた。
最高に力強いステートメント。
でも、「力強い」というのは、僕たちが通常耳にするような、ジェンダーとか、国籍とか、セクシュアリティとか、差別とか、そういう「政治的」イシューを取り扱っているからでは必ずしもない。
僕が1時間半追い続けたのは、そういう紋切り型な「政治的な」言葉や身振りから自分をどんどん切り離したい、そこに何があるのかを見極めたい、でも、最後ギリギリのところでは「あなた」と「わたし」がいて、それぞれが切り離しえないコンテクストをしょってこれまでの時間を積み重ねてきた以上、紋切り型なコンテクストから100%逃れて二者が対峙することは不可能である、という絶望への道と、逆に、そのギリギリのところで、皆既日食ギリギリの場面でダイアモンドリングが一瞬きらめくときのようなカタルシス、救いの感覚は不可能ではないというその一点への希望。
それらのダイナミクスを、突き詰めることはできないにせよ「最高に力強いステートメント」と僕は呼びたい。
後半のアレックスによる台詞の繰り返し:「あなたが何を言っているかは分からない。でも、あなたが何が言いたいかはよく分かる」
は出色。「何が言いたいか」なんて結局のところ100%分かる訳はないのに、そう言い切る事。「耳が不自由なので一語一語は分からないけれど言いたいことは目を読めば分かる」みたいな紋切り型でセンチなステートメントではなくて、そう言い切ってしまうこと。その乱暴な台詞の向こうにしか、所詮100%は分かり合えない二者の間の希望が存在している。ように僕には思えた。
こんな素晴らしいフィルムを無料で一般公開したICCに感謝。そしてこの上映の存在を教えてくれた方々、皆様に感謝、感謝。
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