2008年9月13日土曜日

王立フランドル劇場&トランスカンカナル 森の奥

13/09/2008 ソワレ

ベルギー人が英語でなくてフレミッシュ・フランス語を喋るのを初めて聴いた。だって、彼ら、相手日本人だと英語で話してくれる優しいやつらだか ら。こういう風にフレミッシュとフレンチのスイッチを入れたり切ったりできるのは、喩えていうならアメリカンスクールに通ってる日本人の帰国子女たちの英 語と日本語ちゃんぽんの会話を想像すると近いかもしれない。それを大人が、TPOとニュアンスを考えながらやっている感じ。後で聞いたところでは、ブ リュッセルの街自体がそんな風になっているそうで、うーん、奥が深い。

というわけで、ベルギーからやってきた劇団ならではの完璧なバイリンガル芝居。こりゃ面白い。平田も、きっと、凄く楽しんでこの戯曲書いたに違い ない。だって、オール日本人キャストじゃ「バイリンガル芝居」なんて創れないんだから。まぁ、アメリカでだって(ヒスパニックを入れれば別かもしれない が)バイリンガル芝居なんて創れないんだから、この、ベルギーの役者陣と平田芝居+題材、が、かなり幸福な出会いを果たした舞台、といってよいのではない かと考えた。

話の内容はかなり専門用語もあって全篇説明の嵐なんだけれど、小生も一応「カガク三部作」の最初の2つの初演には出演してたし、かつ、先週日本語リーディングで予習もバッチリ。字幕を追う時間を節約して舞台に集中できた。

話の切り出し方(フレンチで行くか、フレミッシュで行くか)、つなげ方、そこのニュアンスは、非ベルギー人の僕には最後までは突き詰められないも のの、おぉぉっ、と感じる瞬間が随所にあって、知ってる話なのに1時間半時計を気にせず進んだ。かつ、青年団なら15人くらいが入れ替わり立ち代りの舞台 を、6人で持たせるあたり、役者の力も充分。いやいや、ヨーロッパの役者は本当に力がある。

こういう芝居を創るプロセスを経て、平田が、ヨーロッパの役者が演じられるような、うねりの大きな、1人の役者に任せるシーンの滞空時間が長い、「眠れない夜なんてない」のような芝居を書きたくなっちゃったのかな、とも思った次第。

0 件のコメント: