2008年10月1日水曜日

青年団 火宅か修羅か(鳥の劇場)

27/09/2008 ソワレ

劇場前で青年団の連中に会って、
「お、追っかけですか? こんなところまで?」
なんて言われたが、それは誤解。僕は、「鳥の劇場が一目見たくて」鹿野に来たのです。

マチネのスタジオと打って変わって、劇場の方は学校の体育館をホールに改造。にしすがもの創造舎や精華小劇場も同様に体育館なんだけれど、今まで のところ、鳥の劇場がベストと言い切る。体育館を改造した建物につきものの反響を如何に殺すかとか、どうやったら公民館ぽくならないかとか、すごく大事な ことに気を遣っている。客席の組み方もあわせて、一見すると吉祥寺シアターと見間違うほどの出来映えは素晴しい。難点は、やっぱり専門のホールと較べると 貧弱なバトン周りか。でも、とってもいい感じ。

劇場に入ると、平田オリザが客入れをしている。彼の客入れを見るなんて、20年ぶりに近いのではないか、と、ちょっと嬉しかった。

約150席がほぼ一杯になって、年齢層も幅広く、その中で演じられた火宅か修羅かは、やはり素晴しい出来映え。しかも客席も素晴しくて、終演後、 役者が、「観客があったかかった」と言っていたが、まさにその通り。役者の一挙手一投足に対する集中の仕方が、なんだか、張り詰めたとは言わない、でも けっして途切れない、そういう、幸せな感じだったのである。

青年団のように、東京では、「ちょっと高踏派」みたいに見られている劇団が、こういうあたたかでしっかりした観客の眼に晒されるのはとても良いことだと思う。鳥の劇場、観客を育てるという意味でも良い仕事してるんじゃないだろうか。

芝居のことについて一言いうと、前半の高橋縁「死ぬのがバカらしくなっちゃう」の台詞は、本当に美しい。この日このとき、この役者からじゃなきゃ聞けないんじゃないか、っていうくらい、この日は、彼女の台詞に、打たれた。

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