2015年9月15日火曜日

ミッションとしての観劇のこと

今月初め、「観客発信メディアWL」の企画「こまばアゴラ劇場支援会員2015 演目完全制覇リレー」について、若干思うところがあったので、備忘までに書く。

先月、3日間エディンバラまで出かけて、3日間で17本芝居観てきた。
自分としては、観たいから観ているのであって、自分にミッションを課しているわけでも、ノルマを課しているわけでも無い。
「あぁ、これは観なきゃ!」と思う芝居もあるが、それは、義務感というよりも、観なかったときに「あれ、面白かったよ!」って聞いて、悔しい気持ちになるのが嫌だからです。とにかく、面白い芝居は観たい、ということ。

そこには、苦行感もないし、達成感も無い。
喩えるなら、お菓子が大好きな子供がお菓子の家にぶち込まれたようなもので、お腹を壊すまで「幸せな気持ちで」お菓子を食べ続けるだろう。僕もそうです。
そういう意味では、余り前向きで無いかもしれない。「芝居を自分の快楽のために消費している」と後ろ指さされても仕方が無い。
いや、しかし、まずは楽しむことが大事。ミッションとか、妙な使命感持って芝居観る「必要」はない。

でも、実は、ミッションとして芝居を観ることを、否定しているわけではなくて、それを「自分でしなければ」と思ったり「誰かやってくれないだろうか」と思うこともある。
その一つの例が、「こまばアゴラ劇場支援会員2015 演目完全制覇リレー」。
こまばアゴラ劇場には芸術監督がいて、制作チームがいて、年度プログラムを何らかのポリシーに沿った形で作って、それにあった公演が上演されている。はず。
でも、芝居の公演について、「アゴラの年間ポリシーに沿ったプログラムだから」観に行く、という人はそんなにいないような気がする。
あるいは、芝居を観る中で、「今年度のアゴラのプログラムはここら辺の劇団とか、ジャンルだから、相当期待できる」とか、「今年のアゴラのプログラムの方向性は自分のテイストとちょっと違ってるから、支援会員になるのは今年は見送る」とか、そういうのもあんまり無いような気がする。
「アゴラでやるんだから、それなりのクオリティは確保されているんだろう」という推測は出来るものの、それ以上に積極的に「アゴラでやってるものだから、敢えて万難を排して観に行く」ということはない。

今では、芸術監督の平田オリザですらアゴラで上演される全ての公演を観ることができないはずで、そういう意味では、
「今、アゴラはどの方向に向かっているのか」を、観客として見定めようとしている人は、少なくとも僕の知ってる範囲では、いない。

更に言うと「何が起きているのか」もなるだけウォッチしないと、「どの方向に向かっているのか」を測ることが出来ない気もする。
当初プログラムに沿って上演が行われても、「上演される芝居が、プログラム策定時の意図を超えた思いがけない事象が引き起こされて、そこから将来に向けた思いがけない動きが生まれてくる」事もあるのかもしれない。毎日劇場に行くことは出来ないけれど、少なくとも、全ての上演についてカバーできたらなぁ、と思ったりする。

なので、僕の希望として、誰か、アゴラの芝居を1年間通して観てくれて、芸術監督のポリシーなり、劇場としての注目分野なりを、観客の立場から認識して、伝えてくれたり、あるいは、小屋主の目の届かないところでアゴラに起きている異変を指摘してくれたりしないかなー、と思っていた。
それを、「こまばアゴラ劇場支援会員2015 演目完全制覇リレー」のミッションとして期待している。

できれば、それは、自分がやりたい。
昔、アゴラに、自らを「下足番」と名乗り、全ての公演に必ず目を通している方が居たことを、僕は知っている。
加えて、アゴラは、自分に人格形成にとって極めて大きな影響を与えた場であって、一種「実家」のようなものでもある。
でも、できないなぁ、って思っていたところに、観客メディア発信WLの企画。

企画に参加している方々、あからさまに好みで無い芝居にも出かけていって、一種ミッション遂行のための「苦行」にも近い時間を過ごすこともあろうけれど、それは、違うレベルで、「アゴラで観る芝居は、今後どうなっていくんだろう?」という興味と、「そういう興味を他者と共有したい」という希望に支えられているものだと信じます。
だから、「アゴラ完全制覇ミッション」、頑張れ。

2 件のコメント:

Mikio Katayama さんのコメント...

小畑さんどうもありがとうございます。
このような励ましを頂き本当に心強いです。
一年何とか走り抜けてしっかりと企画内容を総括するとともに、観客の立場からこまばアゴラ劇場支援会員制度の意義について考えてみたいと思います。できれば年度末には劇場の関係者と話し合いあるいはシンポジウムのようなことをやって、意見交換をできればと考えています。今後ともよろしくお願い申し上げます。
こまばアゴラ観劇隊(アゴラー)一号 片山幹生

Homer Price さんのコメント...

コメント有り難うございます。
1年間終わって何が起きているか、本当に楽しみにしています。