30/08/2015 11:15 @Traverse 2
エディンバラ2日目のしょっぱなは、男性独り語りによる「ギャンブル好きおじいちゃんの生き様」。
開演1分にして、メロメロ。涙出てきた。
語り始めるときの、観客との関係の切り結び方の間合い。口ごもり。
さて、どこから始めようか?どういう人の話になるだろうか? その、場に対する真摯さに、感動した。
それだけで、この公演に来て良かったと心の底から思えたんだ。
お話自体はそんなに難しくなくて、
ギャンブル好きのおじいちゃんがガンで余命1ヶ月、と診断されたときに、
「じゃあ、オレ、余命がもっと長い方に賭けるから」って大金賭けて、それでどうなったか、っていう話。
まぁ、こうやって一括りに話すと、よくある「ちょっといい話」だな。
してみると、やはりこの芝居の魅力は、ストーリーそのものではなくて、語り口とか、そういう細部にあった、ってことなんだと思う。
もちろん、エディンバラのフリンジフェスの観客層はとても広いし、
基本的にはスコットランド人のためのフェスなのだから、地元のスコットランド人のじっちゃん・ばっちゃんが多数詰めかけるステージだったのだけど
(日曜日の午前中公演でもあるし)、従って、観客の間口は「ストーリーを愉しむ」人に向けても広げておかないといけなくて、そして実際間口はうまーく広くとってあって、
その上で、しっかりと、語り口で勝負。素晴らしい。そこら辺は畑澤聖悟さんの上手さに似たキャパシティを感じた。
「自分の祖父の話」なのだから、語り手のパーソナルなものが入り込む余地は多分にあるのだが、役者がここでも
「語り手・語られる人・演じ手・観客(総体として・個として)」のそれぞれの視線を整理した上で舞台に上がっているので、クリアーで、
かつ、境界をぼやかして遊んでも心配にならない。安心して身を預けていられた。
いや、素晴らしかったです。
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