2008年11月29日土曜日

Studio Salt 中嶋正人

29/11/2008 マチネ

まず、「(刑が)確定したんです」ドドーーーン!!の音は良くない。あの音は、
① 死刑囚はもっと前の時点で刑の確定を知らされているから、彼にとっての驚きではない。
② 坊さんは勿論面会の前に刑の確定は知っているはずで、彼にとっても驚きではない。
③ よって、この「ドドーーン!」は、(この情報をここで初めて知らされる)観客に対する親切心、「あなた、ここで驚きなさーい。ドドーーーン」のサインであろう。
今日び、この展開、このタイミングのこの台詞で誰も驚いたりはしない。

平田オリザと大阪大学の石黒先生が共同でつくったロボット演劇のニュースが、おとといのニュース9で結構長く(10分くらい)フィーチャーされていた。その中で、観劇後の若い女性が、
「ロボットの見せる無駄な動きに感情を感じた」
というようなことを言っていて、この方が芝居を見つけた方かどうかは分からないけれども、かなり正確なポイントを突いている気がしていたのだ。
その文脈で言うと、この芝居で山ノ井史が股をかく仕草は、
「(創り手にとって)無駄でない=意味のある」動きであるがために、感情とか、リアルとか、そういうものを感じさせない。
すなわち、この芝居で山ノ井氏は、まっとうな演出さえ付けばロボットですらできることもできなかった(or させてもらえなかった)ということになる。もっと無駄に股座掻いていれば、もうちょっと違ってたはずなんだけど。

死刑制度をテーマに取り上げているけれど、それについてはここでは触れない。個々人で考え方は違うだろうし、作・演出の考え方を教えてもらいに劇場に行ってる訳ではないので。少なくとも、芝居としてはぬるかった、ということである。

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