2008年11月3日月曜日

多摩川劇場 川のある町に住んでいた

02/11/2008 マチネ

マチネ、というか、東急多摩川線を舞台に、1日1本の回送電車を使ってそこで芝居を上演しようという企画なので、時間も、昼間の電車の運転間隔が 比較的長い時間帯、ということである。その上3両編成の電車で3つの座組みがあるので、2日・3日の2日間2回公演では、3つすべてを見ることはできない 計算になる。

11時に整理間発行開始、10分前に行くとすでに16、7人並んでいて、うむうむ、多摩川線で大々的にキャンペーン張ってなかった割には盛況じゃないですか。その場で柴号・中野号・山下号とあるが、小生迷わず柴号を選択。

1時35分に蒲田駅プラットホームに集合。列を作って電車に乗り込めば、最後尾の柴車両の床にはクレヨンで描いた絵が敷き詰められて、その上をプ ラレールが一本、車両を縦断して敷かれている。日ごろ多摩川線を通勤電車として使っている身としては、何ともいえぬ異空間が広がっているだけで、すみませ ん、かなりテンションがあがった。こんな多摩川線、今後100年は拝めないぞ、と、何枚も携帯で写真を撮る。

2時きっかりに出発進行、開演。そうです。この芝居には、「開演が押す」ということはありえないのです。ダイヤが乱れちゃうから。多摩川に向かう 間に、とあるカップルと多摩川線君、それに、多摩川線沿線の住民の皆さんとの会話があって、と、さすが3両編成、7駅しかない多摩川線だけあって、ろく すっぽ話も展開しないうちに終点多摩川についてしまうのだが、その間に外からこの芝居電車を見る人たちの視線が何とも面白い。だって、電車が駅に着いたと 思ったら、回送で乗れないし、かつ、人がたくさん乗ってるし、かつ、変な人たちがのっている。床に絵とオブジェが散らばっている。その内側にいる幸せ。

多摩川についても芝居は終わらず。川を見たことがないという多摩川線電車君を、浅間神社の上まで連れて行ってあげる。プラレールをつないで。大人 も子供も、一生懸命になってつないで、坂を上る。途中、カーブではちょっとずるしてワープする。それがもう、楽しい。神社の丘の上について、多摩川が見え る。そのカタルシス。

駅から3分歩いて、ちょっと高いところから川が見えるってそれだけのことなんだけど、それがとてつもなく楽しい。

芝居が終わって、多摩川の駅の改札をくぐったときに、何だか三文小説みたいで恐縮だが、一瞬、眼がくらんで、年間500回は確実に通過しているは ずの多摩川の駅が、何だか、別の場所のように思われたのだ。その一瞬が僕にとってはとても大事で(だって、そういう、クラクラっとくる芝居って、そうそう あるもんじゃない)、柴氏と役者達には、その一瞬のお膳立てをしてくれたことについて、いくら感謝してもしたりない。そういう芝居でした。

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