2008年11月24日月曜日

新転位・21 シャケと軍手

23/11/2008 ソワレ

中野光座、満員。当日券で入れてよかった。
飴屋法水氏が出演するというので観に行った、というのが正直なところ。去年のSPACでの「転校生」の演出が素晴しかったし、僕は東京グランギニョルは観に行かずじまいだったし。一体、どんな演技をされるのでしょうか?

が、芝居が、面白かったのである。秋田の畠山鈴香事件を題材にしたこの芝居、2時間半、ずっと、時計も見ず、お尻も痛くならず、じっと観ていることができた。もちろん、飴屋氏、大変面白かったのだけれど、僕は、観ている間、戯曲の力ということについて考えていた。事件当時自分が日本にいなかったため、事件の詳細について他の観客に比べて圧倒的に情報量が少ないという事情はあるにせよ、です。

だから、この戯曲は、山崎氏の演出を離れて、例えば、現代口語の他の演出家が演出しても、充分持ちこたえられるのではないか、いや、それは無理な相談なのだろうか、と考えてしまう。どうなんだろう?いや、でも、面白かったと思うんだけど。

飴屋氏が横を向いて台詞を言うたびに、長い髪の先が彼自身の息でふわーと揺れるのが、なんとも面白い。鈴香役の石川さん、殆ど正面を向かうことがないのだが、本筋と一見関係のない「三島さんの自殺」が伝えられるシーンで、下手でぼーっと正面を向いて座っていた、そのときの顔と照明の当たり具合が、忘れられない。

2時間半、休憩無しの芝居で最後までガッチリ魅せてくれる芝居は、近頃なかなかなかったので、(それが転位の芝居だったということも含めて)結構嬉しかった。

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