2008年11月5日水曜日

ハイバイ オムに出す 偽キャスト追加公演

03/11/2008 ソワレ

「舞台上で起きることが、毎回毎回、初めて起きることのようにできたらいいのに」
というのは、昔から芝居の創り手にある願望で、20年位前に、柄本明さんの演技がそういう風にほめられているのを聞いたことがある。

それに少しでも近付くためにかどうかは知らないが、今回岩井秀人がとったのが、
「出来上がった芝居で1人だけ役者を入れ替える」
作戦である。うむ。この作戦、どこまで上手く行くか、見てやろう。

と、格好良い能書き垂れて観に行ったわけではなくて、実は、「ヒッキー」の妹役を篠田千明が演じると聞いて、
「ひょっとしてこれは、キュンとくるのではないか」
と思ってしまったのである。それで観に行ったのである。端田新菜や中川幸子もぐっと来たのだけれど、ひょっとすると、篠田妹だと、とんでもなくキュンと来るのではないか、と期待したのである。

結果としては、面白かった。でも、キュンとはこなかった。篠田妹の「違和感」「異分子感」は常にあったのだけれど、それは、「舞台上の事件が毎回初めて起きることによる、どっちに転ぶか分からない危なさやワクワク感」とは違っていて、篠田が「あれ、こんなとこいて良かったんだっけ?」と感じていると思われる感じ、そのザラつき感を味わった印象。

岩井氏出演の「落語編」も、岩井氏が上手なためにやっぱり妙に平衡が取れていて、「破れに近い」という妙な緊張感は、残念ながら、なし。

しかしまあ、「面白いものをより面白く」するために、色んなことを考えるものだ。なんとも業の深いことである。

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