2008年11月9日日曜日

岡崎藝術座 リズム三兄妹 再見

08/11/2008 ソワレ

最初から最後まで、食い入るように観させていただいた。
エレベーターがのぼってきて、俳優のサカタが登場するところ。姉の登場、同居人の登場、巣恋歌の登場、兄の登場、妹の登場、ショウコの登場・・・全てにおいて、「観たくないシーンが無い」!ということに、終演後気がついて、愕然とする。「無駄がない」という言い方をすると、恰もかっこよく、演出家の意図に沿ったものしか置かれていないような聞こえ方をするかもしれないが、いや、実際、意図に沿ってないことは起こらないのだけれど、でも、ノイズというか、「リズムのズレ」までが、そこになければならないズレとして配置されているように感じられた。
で、その先は、観客に跳べと、舞台が言っている。

舞台の上・中央・下に役者が分散して同時平行で演技が進むところも、普段なら、観客の意識を散らそうとする試みとして冷静に見られるのだけれど、今回は、「どこも観ていたい!もったいない!」と思ってしまう。

内田慈さんは、みーんなが誉めている通りで、全く素晴しい。が、個人一押しはやっぱり白神さんで、前半の「リズムな生活、ん、そーーーーーっ」までで、実は芝居全体の半分以上を使っている。そこが素晴しいからこそ後半が生きるのだ、と力説したい。もちろん、役者についても、誤解を恐れずに言えば、「過不足が全くない」。

2度見なのに、やっぱり1時間半やられっぱなし。

リズムのずれと言っても、縦と横とそこからはみでる立体と言ってもいいんだけれど、それは、僕が舞台で感じたいところの、「戯曲・演出・演技」の構造が掬おうとしてこぼれ出る「破れ」「裂け目」のことではないかと。そういう裂け目が、リズムを突き詰めようとするところから、ピリッと生じて、それは、岡田利規氏がこの間60年代演劇のシンポで言っていた、「90分間の世界を創り上げること」に極めて近く、しかも、そこに裂け目を生じさせているという意味で、既にその先に在る可能性を秘める。と、僕は思う。

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