22/06/2008 マチネ
「柿喰う客は80年代演劇より出でて80年代演劇よりも80年代演劇」
この間の流山児事務所の芝居を観て「80年代芝居の限界」みたいなことを感じていたら、なんと王子では80年代芝居の限界をこうやって取っ払ってみちゃいました、みたいな芝居をやっていた。
2時間20分、長い長い、でもおおむね飽きずに、スピードと身体の動きとノリで見せ切ってしまう。実は、中盤、1時間30分過ぎたところでちょっとペースが落ちて眠りかけたのだけれど、スタートからラストに向けて物語のラインがガッチリあるので、特にロストすることなく観続けられた。まさにメッセージ無用の80年代演劇、妙なメッセージを取り払った分を台詞・演出・役者の技量で埋めて、ここまでやっていただければ文句ありません。
オジサン的には、すし詰めのタイニイ・アリスで観た花組の悪乗りと高揚感を思い出しました。
ポストパフォーマンストークも大変面白かった。特に、中屋敷氏が、
・ 「現代口語演劇」がここ3年面白くないと感じていること。
・ 高校時代「弘前劇場」を観て育ったこと。
・ 高校演劇をしながら80年代演劇(遊眠社・第三舞台等)の戯曲・ビデオを漁りまくったこと。
・ 日本語の「七五調」の心地よさに着目していること。
うんうん、そこまで考えて、この芝居。すごく納得的。
80年代演劇の限界だと思っていたことを、青年団は「歌わない・踊らない・笑わせない」で突き抜けようとしていたのだけれど、高校時代弘前劇場を見て育った中屋敷氏は、80年代演劇の「歌って踊って笑わせる」部分はそのままとっておいて、どうやったら2000年代に突き抜けられるかをうんと考えてやっている。同時に、ポップな作りにしてあるけれど、実は、野田の芝居が日本の芝居の正統を受け継ぐものだと井上ひさしが言っていたのと同様、柿喰う客の芝居も、しっかり「日本の芝居」しているのである。
今後、中屋敷氏がこの「借り物の80年代ぽさ」を脱ぎ捨てる時が来るのか、来ないのか。大変興味深い。
それにしても、今、小劇場では現代口語演劇が主流なのか。知らなかった。
てっきり野田とか阿佐ヶ谷スパイダーズとかキャラメルボックスとかナイロンとか大人計画が主流なんだと思っていた。それともそういう人たちは「小劇場」ではないのか?
そこらへん、事情通の人に聞いてみたい。
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