06/06/2008 ソワレ
これが、予想に反して、つまんなかったんである。出演者をはじめ多くの方が気を悪くするかもしれないが、つまんなかったんである。そして、この乞 局という劇団、作・演出・役者・舞台美術、全てにおいて力がある劇団だと思っているだけに(今も思っているだけに)、余計に、残念なのである。
「媚励」を観たときには「これを面白いと思えないのは向き・不向きのせいではないか」と思ったのだが、今回観て、つまんなかったのは「向き・不向き」のせいではなかったと思い始めている。
端的に言えば、
「居心地の悪い状況にいること対して、役者がちっとも居心地悪そうでない、むしろ安住している」
のがとてもつまんなかったのだ。
人を殺しても、殴っても、強姦しても、精液飲んでも、訳の分かんない叫び声挙げても、別にいいんだけど、
「観客さん、観ていて居心地悪いでしょ?」
と親切に記号で見せてもらっても、ちっとも居心地悪くならない。
いや、悪くなるか。「はい、居心地悪くなってください」という押し付けに対して。
僕がワクワクするのは、状況が異常であれ日常であれ、そこに居心地の悪さが、あるいは、裂け目が、出てくる瞬間で、それは、役者がどれだけ舞台に立っていること、この世にいること、等々に対して居心地の悪さを自覚しているかに拠っていると思うのだ。
1つ例を引くと、木引優子、「陰漏」ではとっても普通で異常で観ていて気持ちよかったのに、今回は変な人の記号だった。その差、一事が万事。それが、「陰漏」が面白くて「杭抗」がつまんないポイントです。僕にとっては。
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