2008年5月25日日曜日

ウォーキング・スタッフ・プロデュース 剃刀

24/05/2008 マチネ

和田憲明演出の芝居未見であること、戦前の戯曲の翻案であること、加納さんが出演していること、その3点が今回の興味。

幕前、ウッドベースの「ジャジーな」雰囲気を強調した音楽が流れて、
「これは、ひょっとすると、オフビートでくら~くてやるせな~い話になりますよ~、というサインなのか」
と、紋切り型の嵐が吹く予感に襲われる。

開演すると案の定の展開で、ポイントとなる台詞が発せられると「こーーん」という、「ハイ、皆さん、ここ、ポイントです」な効果音が流れる分かりやすさ。女優と若い男優の紋切り型にはダメだダメだダメだダメだ(この後1億回繰り返す)を心の中で連発していた小生であるが、加納幸和さんはやっぱりさすがで、そんな芝居の中で自分が紋切り型に落ち込まずにこらえる術を心得ている。

戯曲そのものは、上手く料理すればチェーホフばりの悲喜劇に作れなくはない原作だったのではないかと想像されたが、やるせな~い感じばかりが前面に出て、役者のせいもあって一本調子。苦笑を誘ったであろうシーンも死んでいた。まぁ、ひょっとすると、もとの戯曲がこの公演よりももっとひどい「階級差別はんた~い」型ご教訓戯曲で、それをここまで持ってくるのさえすっごく苦労したんだよ、ということかもしれない。いずれにせよ、加納さんの良さがよく分かった芝居だった。

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