2008年5月4日日曜日

タカハ劇団 プール

04/05/2008 マチネ

初見。若い。上手い。気に入った。でも、冒頭とラストは何とかならないか。ということで、「次も観てみよう」と思う劇団がまたひとつ増えた。

舞台は大学の(しかも医学部・解剖学関連の)研究室のようなそうでないような場所で、手前にみんながうだうだするテーブルが置いてあって、一見、 「カガクするココロ」を思い出す。王子ならではの二階建て舞台の奥は、どうやら、階上の廊下らしい。舞台美術の作りこみ、まず、良し。一瞬鴉屋系かと思っ たが、違った。

望月という新入りのバイト学生の目を通してそこで展開するさまざまな出来事を描いていくのだが、まず、何が上手いかといえば、望月が「明示的に入 手する」情報と、望月が「なんとなくそうなんじゃないかと推測しているであろうと観客が推測する」情報が、きちっと分けられていること。この手の「主人公 を通して出来事が展開する」芝居でこれがされているとまず合格。

さらに、「望月もこう考えてるんじゃないかなぁ」と思うくらいの推測が観客にも可能で、それを最後まで決め打ちさせないで、最後まで引っ張ってい くところが良い。要は、「ラストに出てくる驚愕のどんでん返し」とか、「最後まで次に何が起こるかわからずドキドキする展開」のようなチープな売り方をせ ず、
「何だか分からない、いや、分かってるような気もするんだけど口には出さない/出せない」
雰囲気を、1時間45分持たせる、で、それを楽しませる、というところに徹しているのが、良い意味で非常にエンターテイニングだった。

役者陣も、「あー、全部吐き出したいんだけど吐き出せない」という雰囲気を、
①それが劇中の設定だから
②そういう演出だから
という二重の意味で自分をよく抑えてかもし出していたと思う。

で、何とかならないかと思ったのが、冒頭とラスト。
まず冒頭。望月入場時の持って行き方が強引過ぎ。セミ秘密の場所に異分子が入ってきたときの反応、も少し丁寧にできんか、と思った。これは演出の方針・戯曲の入り方、だと思う。
ラスト。照明変えない方が絶対に怖いよ。あと、役者も、驚かないほうが、怖いよ。だから、フリーズしない方がきっと怖いよ。普通に終わったらもっと怖かったはず。で、それが残念だったかな。

でも、初見、飛び込み当日券の劇団でここまで面白かったのだから満足度大。「王子だからひょっとすると面白いぞ」と思ってきたら、案の定、若くてざらついた芝居が観れた。さすが、王子です。

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