2007年9月24日月曜日

シアターナインス シェイクスピア・ソナタ

23/09/2007 マチネ

松本幸四郎さんの演技を真剣に見るのは、「黄金の日々」をテレビで見て以来なのだが、1幕1場、何だか訳分からん悪態をつきながら登場するのを一目見て、魅了された。あぁ、この人はとってもいい役者なんだ、と。

作・演出岩松氏だから、戯曲は例によって例の如く岩松神経症芝居を期待していれば良いのだが、幸四郎以下の役者陣がそれをどう受け止めるか、というのが僕の興味の焦点だった。

で、その欲望は本当によく満たされて、松本幸四郎さんに対して岩松さんの演出が付いて、その要求を満たしながら松本幸四郎が殺しきれないものとい えば、それは「色気」とでも呼ぶべきもので目が離せないし、伊藤蘭さんは本当に綺麗で演技も「芝居臭く振舞う女」に極めて自覚的で泣かせる(割箸の思い出 には本当に泣きかけた)。堪能しました。

導入から構成、幕切れにかけて、チェーホフがすっごく意識されているから(岩松氏ロシア文学科だから当然だけれど)、岩松神経症芝居のカラーは若 干薄まっている気もするが、だからこそ柔らかでかつ毒のある戯曲に出来上がっていて、こういう芝居はもっと小さな小屋で小さな劇団がやっても充分に楽しめ る、現代の古典となってよい芝居であった。で、そういう芝居をきっちりこなして色気まで見せる松本幸四郎はやっぱりエラいのでした。

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