2007年9月18日火曜日

26.25団 博愛

17/09/2007 ソワレ

これが何だか、面白かったのである。王子では往々にしてこういうことが起きる。

「割と閉じた特殊な集団」、「周囲のコミュニティとの軋轢」、まぁ、ありがちかな。ちょっと舌足らずな話し方、香港系を名乗る妙なアクセント、どういう積もりなのだろう。と、いうネガティブな印象から入って、ラスト、人間関係の色々な気持ち悪いバランスが崩れて終わる。

この、ありがちな話が最後まで見られたのは、専ら、①役者、特に高校生3人+女子大生2人 が面白かったこと、②作・演出の細部でのセンスが妙に面白かったこと、の2点による。
逆に大人役は、乱暴なところのある物語を進める役割をしょわされて、割を食った印象。

前半から中盤にかけては、だから、高校生や女子大生のシーンを面白がっていた部分があって、「あぁ、こんな感じで終わるのかな」と予想を立て始めたところに、

「ちょうさん+マザー 2人語りのシーン」である。香港人が、椅子を持って来ようというのか腰を上げ、でもやっぱり先の二人を追って出て行こうと いうのかドアまで行って、半開きのドアをきちんと閉めてから戻ってきて腰掛けるシーン。この、「半開きのドア」にちょっとドキッとした。あぁ、こういう演 出が出来るんだ、と。

つづいて、女子高生2人が飛び込んできて、一人の腰が立たなくなる。そこですかさず、「ファイトォ」である。それもメゾピアノで。やられた。

この2つの小技で、一気に続きが楽しみになっちゃうんだから観客と言うのは現金なものだ。

それがラストになってがなり合いかよ、と再び引きかけたところで、意外なオチで見せる。これが妙な後味の悪さにつながって、又一つ忘れられなくなる。

戯曲の構造はまだまだ改善の余地があって、お客女子大生2人は折角面白かったのに最後宿に戻ってこなくて、「一体どこに行っちまったんだよ」と思 わせるし、よくよく考えてみたら、舞台の民宿の商売を説明するだけで役割終わっちゃってるし、熱血先生は理由も無く船に遅れるし、なんちゅう乱暴な進め方 や、と思う部分もある。

また、当パンで「様々な考え方を持った人間を描く」といっている割には、ラストに持っていく時の視点が、どうも姉に偏っている(移入しすぎてる) 気もするし(あ、でも、そうやって偏った持っていき方をするからこそオーラスのオチが映えるのか?)、そこら辺、もっと突っ放して描いても良いかなぁ、と 思ったり。

結論。もっと上手に組み立てた次回作が観たい。

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