2016年9月19日月曜日

Dancer (Edinburgh Festival Fringe 2016)

25/08/2016 17:00 @Dance Base

グラスゴー出身で、学習障害を持つIan Johnstonと、イングランド出身で、Matthew Bourneの白鳥の湖にも出演したことのあるGary Gardinerの2人による、40分のダンスと語り。

Dancerというタイトルはいかにも大上段なのだけれど、押しつけがましくなく、タイトルに偽りなく、ストレートなパフォーマンスだった。Ian Johnstonの舞台での立ち方が、みやざきまあるい劇場の和田祥吾さんを思い出させた。障害者なのだけれども、そのことが、舞台の上では完全にニュートラルな感じ。障害の有無は、ハゲ・デブ・チビ・ノッポ・ヤセ・色白・色黒・出っ尻・ゼッペキ・ガキ・年寄り、そうしたものと何ら変わるところがなくて、自分は飽くまでも自分であって、そのことに自信があって、それを舞台に載っけてやろう、という企みに満ちている。妙に同情したり可哀想なんて思いでもしようものなら、途端にそこを逆手にとって一泡吹かせられそうな、文字通り「人を喰った」面構えで舞台に立たれると、観客としては、是非ともそういう瞬間を見たいものだと、身を乗り出してしまう。Ian Johnsonは、そう思わせるオーラを持っていた。

自分の身体の動きを、出来るギリギリのところまで追求して、それがどんな風に観客に見えているだろうかというところまで考えて、それをまた自分の身体にフィードバックしてるんだろうな、というのが分かって、だから、ダンスを観ていても、手を抜かれてないな、と安心していられる。と同時に、常に驚きがある。自己満足ではない。そこに、Dancerが自らをDancerと名乗る所以があるのか。

Ian JohnstonとGary Gardinerのお互いへの寄り添い方もすごく良くて、Garyには学習障害はないから、段取りを進めるとか、そういうところはGaryがリードするのだけれど、舞台に立つ上で、お互いへの寄り掛かり方がすごく「対等」なのだ。(Ianが障害者である、という見かけで判断していた筆者の予見が裏切られた、と思われても仕方がないけれど)、障害者がインヴォルヴされていない舞台においても、これほどまでに、1対1で、お互いへの依存が50/50である舞台は滅多に無いんじゃないかと思うくらい、相互への寄り掛かり方が対等で、こんなにお互いに身を預けることが出来る関係は、羨ましいを超えて、ある意味、非常に厳しいものなのではないかとも思わせる。

と、あれやこれや感じているうちに40分があっという間に過ぎて、Happyで観客も皆加わって舞台で踊って、「ずるい!こんな終わり方かい!」って思ったことである。

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