24/03/2007 マチネ
開場すると、舞台上のスクリーンにデジタル時刻表示。10時間35分、秒、そしてその下の単位。
5分くらいすると、妙なことに気付く。時刻が進んでいないのだ。
一番小さい単位は、「20進法」である。1秒を20に割っている。3分毎に、42秒で次の「分」に移る。しかも、37分の次は35分。
要は、インチキな時間である。
「こんなト書きがベケットの指定なのか?」と思いながら当日パンフを読んでいると、なんと彼の小説を構成しなおしているとのこと。そうか。それでは、これから観る舞台上の動きは、当初テクストで特に指定が無いものとして観ればよいのだな。
ちなみに、"Not I" には、僕はちょっとうるさい。何と言っても(これはちょっと自慢入るが)娘の学校の作文の課題が "Not I" が演劇と呼べるのか?というもので、その作文のプルーフ・リーディングを頼まれたことがあるのだ(自慢ここまで)。
スピーカーからテクストが流れ始める。一人称、二人称と三人称の視線の差異が偏執的に語られて、それを追うのに四苦八苦する。失敗した。テクストだけは読んでくるのだった。
テクストの一字一句を耳で追いながら、「英語ではYouか?仏語ではVousか?Tuか? 手に負えない、は、何だ?」なんて考えていると、役者の動きへの集中がお留守になってしまう。
そのうちテクストの中身にも追いつけなくなってしまう。
要は、僕は、①余程予習してくるか、あるいは、②全く力を抜いて全体を満遍なく受け取る態度をとるか を選び取るべきだったのだ。中途半端な事前知識は邪魔なばかり。失敗した。
1時間の公演だったけれど、かなり疲れた。そして、「情報量の多い芝居だったな」と思ったのだ。
1時間の、2人芝居で。しかも、「何もかも削ぎ落とした」はずの、ベケットで!
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