25/03/2007 マチネ
大変良い芝居を観た。
1時間50分のお化け話。チラシには「ホラー作品」とあって、うーん、外れの確率5割と踏んだがそれでも出かけた理由:
①夏目慎也、ここのところ目が離せないと思っているので。
②山中隆次郎、新国立の「エンジョイ」の遺ビデ話が面白かったので。
この手の「筋を進めていく」「狂気の度合いが進んでいく」といった芝居は、大変しばしば、途中で観るに耐えないシーンが出てきたりするのだが、
この芝居に関しては、そういった見苦しいシーン、無い。
極めて消極的な褒め方をするならば、「観てらんないシーンが無い」ということは、先ず一つ、あった。
その上で、更に、登場人物に過不足が無い。過不足が無い中で、今は亡き大先生への切々たる恋心を共有する4人の男。プラス1。ほんと、男の嫉妬ってみっともないわよね。って、こういう話がつづられて行く物語を、
「やおい」
っていうんじゃなかったでしたっけ?(誰か教えて)
そうです。物語を進めていく原動力が、「ほんとーに、しんから、どーでもよいこと」なのです。この、変に勿体ぶらない姿勢が、好感度急上昇ファクター。
話が遠くなるのを食い止めている。
で、実は、出だしから、「劇の設定のフレームの嵌め方」に違和感があって、「この落とし前、どうつけるんじゃい、わざわざこんなテンポがた落ちのシーンを入れておいて、きちんと落とし前がつかなかったらただじゃおかんぞ」と思っていたら、
見事にオチた。過不足なし。ストンとオチた。
喩えるなら野茂のフォーク。落ちる系のタマで勝負してくるのが分かっていても、そのオチ方のキレが良すぎて、打てない。
阿佐ヶ谷スパイダースの「イヌの日」でもそうだったけれど、お化け噺は上手く落としてこそ、である。
ということで、「ホラー作品」であるにもかかわらず、観た後、とても清々しい気分で三鷹を後にできました。
客席が埋まりきっていないのが勿体無い。
いやー、ほんとに、いい気分。
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