21/05/2010 ソワレ
観終わった後、駅まで、ツレと無言で歩いた。「いい芝居だったねー」では済まされないと思う。打ちのめされたとまでは言いたくないけれど。
台本、役者、舞台美術、音、照明、そういうものが一つのプロダクションとなって80分間の「時空」を創っているんだという、ごくごく当たり前のこと。その当たり前のことが100%なされた現場に居合わせたことの充実感。
芝居小屋に観客として入って、正面に舞台があって、後部上方には調光卓や音響卓があって、舞台上を見入るとそこに役者が出てきて「ないもの」を「あるもの」のように扱う人々がいて、でもそのことは舞台上の人も客席の人もしっかり共有できていて、で、そういうところからお互いの想像力をしっかり尊重しながら、飛べるところまで一緒に飛んでいこう、そのようにもてなされているという感覚がとてつもなく嬉しい。
こんなにもおしゃれで、すっきりしていて、かっこよくて、「誤意訳」だなんてすかした言葉遣いしちゃって、それなのに暖かい。熱源を目に見えないように、直接肌に触ってやけどさせないように、でもトータルの熱量はしっかり感じられる。
僕がこの日アゴラで体験した80分間をもう一度咀嚼して、吸収して、言葉として吐き出すのにはもう少し時間が掛かる気がする。それくらいいろんな素材や味が混じりあっていたと思う。が、少なくともすばらしい舞台だったということは間違いない。
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