22/11/2009 ソワレ
西村和宏の問題意識の持ち方には、西村氏に対して大変不遜な物言いではあるが、いつもとても共感できる。
同じ青年団の演出家達に明らかに刺激を受けながら、そこで一歩立ち止まって「ちょっと待てよ」と敢えて言ってみせること。ぐいっと振り返って、「じゃあ、現代口語演劇にとって80年代とは?」「現代口語演劇にとって物語とは?」「現代口語演劇にとって観客とは?」「演劇にとってエンターテイメントとは?」みたいな青臭い問題提起をしてみせて、しかも、それを前に進んで振り切るのではなく、3分の1だけ重心を後ろに残して、「これまで演劇を観てきた人たち・こころもち」に最大限の敬意を示しつつ芝居を提示するという、いわば、現代口語演劇のしんがりを買って出ている気がしているのである。
今回は岸田國士のクラシック「動員挿話」と観客参加型演劇の極北を征くわたなべなおこを引っ付けて、そこに更に自分の問題意識を埋め込んでくる試み。いいぞいいぞ。
が、うーむ。やりたいことの1/3ですか...そういう感じもしたなー。本当は、西村は100%やりたいことをした、わたなべも100%した、役者も100%出した。足して300、それでは100%に収まらないから舟が山に登った、みたいなモノが観たかったんだけど...だからやっぱり、トータルの印象では、今回、ちょっとお行儀の良い中途半端な感じがぬぐえなかった。
わたなべ作のうじむしくんコーナーは、吹っ切れた感じが良し。が、岸田戯曲は無理矢理現代口語の台詞に直さずとも充分面白く出来たのではないかと(大西さんをみよ!)。台詞を直した部分の言い回しに、むしろ西村or役者のクセが出て、却って気になった。
日本兵の格好の男は、僕はてっきりこれから戦地に赴く「馬」かと思ってましたが、連れによると「軍国主義とかそういうもの」が家にお邪魔してきて、それが夫婦のいざこざのとばっちりを受けるのが楽しかった、んだそうだ。その方がはるかにきちんとした観方だろう。
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