2009年11月29日日曜日

ムルエ・サーネー フォト・ロマンス

27/11/2009 ソワレ

結論を先に言うと、僕には期待はずれだった。

ロンドンにいたとき2,3歳年下のレバノン人の友人が、家族と防空壕で過ごした子供時代の思い出を話してくれたことがあって、何となくびっくりしたのを覚えている。
おそらくムルエ氏もサーネー氏も僕と同じ年にレバノンで生まれているから、僕の友人と若干なりとも似たような経験をしていると推測された。
ロンドンで聞いた話の追体験のようなもの、あるいは、そこで受けたイメージに何か付け加えてくれるものを、何となく期待していたのだと思う。

でも、舞台は、直接語ることの難しさを解決するために「趣向」を求めて回り道をし、結局、趣向だけが先に立って語られるものをすら絡め取ってしまった印象である。

いや、難しいんだよ。僕の友人も、決して「ストレートに語る」ことを是とはしていなかったし、それはそれとして極めて真っ当なのだけれど。でも、回り道する方向は、「趣向」に限らない気がするんだよな。趣向が優先すると、「その日、そのとき、その場に居なかった人たち」は、語りたい気持ちの上澄みだけを汲み取って、それを愛でて終わってしまうんじゃないかと思うんだよな。いや、所詮、上澄みでないところまで分かる分かる、って行ってしまうことも嘘なんだけど。

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