2009年11月16日月曜日

渡辺源四郎商店 今日もいい天気

06/11/2009 ソワレ

僕は、芝居観ながら当パンを音を出してめくる行為は許せないと思ってしまう神経質な観客ですが、この日ばかりは、1時間くらい経過したところで、
「ああ! おじさん役の人の名前が『ノリスケ』さんかどうか、確認したい!」
という思いを抑えるのに大変苦労した。
そうだよね。○みへい、さ○え、か○○、ToRoちゃん、タマ。
タイトルからして、そうだもんね。もっと早く気付けよ!と自分を責めるしかない。

しかしこの、なべげんの芝居のこの面白さはなんだ。
現代口語演劇の芝居の作り方、組み上げ方が、(乱暴に言うと)ミリ単位できっちり精緻に建て込む建造物だとすると、畑澤演出はあたかも免震構造の、わざとアソビを作りこんであって、見かけはどうあれ、かなりな揺れが来ても倒壊しない、そういうものにたとえられるのではないかと思う。もちろんパーツはきっちり組んであるのが前提で。

そういう土壌で、宮腰さんや田中店主、(初舞台とは驚きの)吉田さんはじめとする役者陣が生き生きと動く。山田百次、工藤由佳子はどっちかというとパーツの骨組みのボルトナットを引き受けて若干割り食ってる感じもするけれど、でも、全体の思想が座組内でバッチリ共有されている安心感は何物にも変えがたい。山下昇平の「マジックで書いた」書割セットも相当素晴しい。

なべげん、かなり素晴しい集団になっているのではないかと推察される。スタイルが集団を変えるのか、集団がスタイルを創るのか、判然とはしないけれど、いずれにせよかなり幸せな状態にあることは間違いない気がする。芝居は「地獄」じゃないよ。芝居は「幸せ」だよ。

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