13/06/2009 マチネ
これは、とんでもなく素晴しいものを観てしまった。
あの眉間の動き、眼球の動き、顔の筋肉の一つ一つを別々に鍛えて何十年だよ、と思ったら、パフォーマーはなんと82年生まれのうら若き女性で、それにも驚く。声も響くし身動きも軽い。
1時間半、本当に飽きずにパフォーマー1人+太鼓隊を見続けていられたのだ。
指の動き、手の動き、首の動き、足指の緊張の度合い、全てに、おそらく意味づけがあって、神話を語る上での文節になっているのだろうと言う印象を持ったのだが、果たしてアフタートークでは、「動きには全て文法がある」とのこと。お神楽みたいなものか。
きっと、インドケララ州の人々は、あの恐ろしく優雅な動きの一つ一つから、一定の物語を「読み解いて」いくのだろう。そして、「ははぁー、ヴィシュヌ神の威光おそるべし。」と何度も何度も思うのだろう。語り手の高い能力の裏側に、人々は神の姿を透かして見たりするのだろう。
その意味で、僕が全く文法を理解しないままこのパフォーマンスを素晴しいと思うのは、全く知らない言語を聞いて素晴しいと思っちゃうのに、実は近いのかもしれない(例えば、女性がフランス語をしゃべってると、意味わかんないのに何だかモナムゥ~ルな感じがしちゃうとか、そういうこと)が、まぁ、そうだとしても、すごいものはすごいのだからしょうがない。
こういう素晴しいもので神話を見せられると、思わず改宗しちゃう人も出るかもしれないな。こうやって布教して回ってたのかな?まずは身体の動きでおぉーっと思わせておいて、そのままお祈りに入っちゃうみたいな。などと、罰当たりなことを考えながら観ていたのだが、それはまぁ、それとして、今日の公演は、すばらしかった。
アフタートークで出演者も指摘していたが、観客側の集中力も高く、客席にいても幸せな時間だった。
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