2009年6月19日金曜日

アルトロジー チェンチ一族リーディング

17/06/2009 ソワレ

神里氏は野球部だったそうだが、僕が神里氏のいるチームの監督だったら、神里氏に対して出すサインは、いつも、「満塁ホームラン打て」ではないかと思う。
9回裏ワンアウトランナーなし、3対1で負けてる局面。バッター神里。サインはもちろん、「満塁ホームラン打て」だろう。そして、そのサインを見た神里氏は、表情一つ変えず打席に向かうのだろう。

このリーディングを拝見した後、そんなことを考えた。

もちろん、そこで本当に神里氏が満塁ホームランを打つのかどうかはあんまり問題ではない。更には、神里氏の振るバットにボールが当たるのか、はたまたかすりさえするのか、ということすらも問題ではない。もっと言うと、そこが野球場であるかどうかも、実は関係ないだろう。

問題なのは、僕の眼には、
・ レフトポール際でグルグル腕を回してホームランをコールする宇田川氏と、
・ ふと眼を向けるといつのまにかマウンドにいてガックリ膝をついてうなだれてる菅原氏と、
・ 外野席でネクタイ鉢巻に締めて赤い顔でメガホン振ってる真田氏、
それに、ホームランなのに無駄にヘッドスライディングするランナーやベンチを飛び出すチームメイトやマイク握った報道陣、といったものがくっきりと見えて、

サヨナラ満塁ホームランを「本当に」目の当たりにしたのか、そうでないのか、ということは、僕にすらも関係なくなってしまった、ってことなんです。

アルトーの戯曲は、そういう意味で、9回裏ツーアウトランナーなし。5対0で負けてる局面である。そこでもちろん僕は満塁ホームランのサインを出したわけである。

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