22/06/2009 ソワレ
うーん。
青年団の役者陣無し、かつ、平田オリザ無しでは、この作品はきっと不可能だっただろう。
でも、青年団の役者と平田オリザの台本でこういう作品を観たいとは思わない。いや、思えない。
そうなってしまう。
カーテンコールで拍手鳴り止まず、4回も5回も役者が出てくるのを観ると、もっともっと複雑な心境である。
僕のヨメがフランス人のカッコイイ男と仕事の都合でディナーに行ったりして、その男が、構造主義とかポストモダンとか詳しくて(この、「ちょっと古い」加減がポイント)、かつフランス人のエライ人を紹介してくれたりして、レストランに行っても周りが、「あらあら、あの2人はとってもお似合いね」みたいな反応で、僕の友人も、「いやー、君の嫁さんはあーいう場だと映えるね」なんて誉めてるんだか単に俺を貶めてるんだか分からないコメントをして、あー、ホント、ムコとしては面白くねー。 っていう感情である。 チェ。面白くねー。
もともとの芝居が1970年代なので、マーケティングコンサルとかMBAとかの描き方がティピカルで古臭いのは仕方が無いか。いや、むしろ、劇中の構図とか二国間の文化交流とか、そういうのが露骨にティピカルなジャポニズムと「二つの文化だよ!」というステレオタイプのフレームにはまっている演出だから、そういうフレームに合わせるにはコンサル・MBAは今回のように描かれる必要があったのだろう。
ただし、ムッシュ・シラクが米国留学中に恋をしたとか、巴里のアメリカ人だとか、そういう仏米間のなんともいえない蜜月関係を日仏間の関係に置き換えるのは、決してムリとは言わないまでも、微妙なところで芝居のバランスに負の影響を与えていたと思う。少なくとも日本人の僕にとっては。
フランス人はきっとこういうの見て喜ぶんだろう。フランス人が演出してる芝居なんだから。
観てる最中は、商売柄もあって、
「年少180億の会社で無借金、EBITDAいくらかな?4億の借り入れ、軽いよね?」とか
「こんなコンサルは90年代のビジネススクールでも古臭いって一蹴されてたよね」とか
そういうツッコミを心の中で入れていたのだが、いや、入れつつも、2時間15分、けっして長くは無い。
白神ももこの、そこはかとなく彼女の匂いを主張する振り付けも、にやっとさせて良し。
ホント、冒頭の永井氏・山内氏はじめ、本当に青年団の役者って力があるなー、と見入ってしまうし。
でも、面白くなかったんだ。つまんない、って意味じゃなくて、オレは面白くねー。と言う意味で面白くなかったんだ。
この芝居が誉められると、フランス人の演出家が、
「ほら、オレが青年団の役者を演出すると、こんなに誉められるんだぜ」
って鼻たーかだかになりそうなのも面白くないんだ。
あぁ。面白くない。でも、皆さん、観に行くと良いと思います。
あ、そういえば、サイモン・マクバーニーの「象消滅」「春琴」もちょっとそういう匂いがしてたな。
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