2009年6月9日火曜日

ハイバイ リサイクルショップ Kobito

06/06/2009 ソワレ

前作「て」で一人称口語演劇から一歩踏み出した(と勝手に僕は思っているが)ハイバイ岩井秀人氏の新作は、都下のリサイクルショップに渦巻いて(クダ巻いて?)ざわめく「集団としてのおばさん」(当パンの「何人かで一つの生き物」というのはまさに言いえて妙)を三人称(永井若葉)の視点でばっちり捉えて、最後まで目が離せない。

<以下、ネタバレ>

と思いきや、後半になると若干趣を変えて、おばさん2人の一代記になっていくのだけれど、これが何とも微妙な味わいで、前半に見せた「火の鳥未来篇」の劇中劇と同様、おばさんたちの人生は仲間のおばさんや出入りの不動産屋によって演じられて、一体全体、「この人たちの自我はどこに存するのだ?」というザワつき・不安が最後までつきまとう。

ラスト、カセットに入った曲をカラオケでかけてみんなで歌いだすと、それは恰も「火の鳥未来篇」のラスト、山之辺と珠美の魂が宇宙生命体と混じりあうシーンにも似て、「火の鳥」って読んだ当時小学生の僕は「なんのこっちゃ」と思ったのを思い出しながら、今回のざわざわ感、
「複数で一人感」をたっぷり堪能いたしましたですよ。

だから、何も「前半だけ」「後半だけ」にしなくとも、(何事もすっきり回収してしまおうとする)大人の視点でも十二分に愉しめる芝居だったなぁ、と思うわけです。

有川マコトさんと19年ぶりに話できたのも良かったし、岩瀬亮さんのこういう演技が見られたのもとっても良かった。岩瀬さんは是非こういう舞台にどんどん出てほしい、と思います。

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