2009年3月31日火曜日

飴屋法水 転校生

26/03/2009 ソワレ

東京初日。
昨年静岡のSPACで初演された作品をフェスティバル・トーキョーで。これを持って来ただけで今回のフェスティバル・トーキョーの開催価値はあった。断言する。

昨年の衝撃はまだ残っていて、でも、まぁ、演出の趣意や展開はよーく分かっているつもりなので、それほど驚くはないかなぁ、と予想していた。むしろ、小屋としてはSPACの方が居心地が良いから、その分、東京で観るのは分が悪い。もしかすると、高校生の演技は水物で、今回つまらなくなってたらどうしよう、なんて心配すらしていたのだ。

開いてみれば心配無用の素晴らしい舞台に涙止まらず。飴屋・宮城・平田の超豪華な顔合わせがとんでもないプロダクションを産みだしたことが、東京でも証明された。
出演する高校生達、1991年生まれ、僕の娘と同い年の子が多い。あぁ、そーなんだー、と、やっぱり感慨深い。

<以下、ネタバレあります>


幕(というよりバトン)が上がり、最初の一人が舞台に出てくるところで、既に、膝ががくがく震えた。みんなが出てくる間中、震えが止まらない。客電がついて三々五々通路を通って入場してくると、もうそこで涙がこぼれて止まらない。高校生に涙を見られるのは癪なので、必死でこらえる。

が、転校生岡本さんが入ってくるともうだめ。しかも、下手わきのドアからの入場、僕の座っている真横で立ち止まる。ダメだ。40男の泣き顔を、他の観客に晒してはイカン、と、ますます必死になる。

ま、僕が泣くの泣かないのなんてのを繰り返して書いても意味はあんまりないので、芝居のことを書くと、

・ 高校生が退場していくときの顔!どうやったら、あーいう素敵に何も無い、ひたすら出口に向かうことだけを考えてる顔で退場できるのか。素晴らしい。みとれた。
・ 同時多発会話が、こんな形で提示されるとは。人の話を聞いているのかいないのか、それも全然分からない。なんと勝手な生き物なのか。女子高校生は。
・ 20人の同時多発戯曲を書ききった平田オリザの力量・体力に感服。
・ 15年の時をやすやすと超える戯曲の強度。それを極めて同時代のものとして、かつ、今だけの、ここだけのものとして、提示する飴屋氏。改めておそるべし。平田戯曲は本当に厳しいのが多くて、安易に戯曲として選ぶとしっぺ返しが激しいのだけれど、なんと素晴らしい演出であることか。
・ それを企画してしまった宮城氏の眼力!
・ 初演時よりもメリハリがはっきりして、高校生も「好きにできること」の幅を広げて、より勝手気ままに振舞ってみせ、かつ全体のアンサンブルも良い。東京初日ということもあったのか、素晴らしい気合だった。

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