2009年3月25日水曜日

声紋都市-父への手紙

22/03/2009 ソワレ

舞台芸術としての力強さは、どこにあるのか?
こういうシビれる芝居を観ると、改めてそう考えてしまう。
舞台中央の傾斜舞台をゆっくりと滑り落ちる役者達。正面のスクリーンに映し出される巨大な松田氏の顔。原爆資料館の受付の女性を困らせる松田氏の映像。女装で土手を転がり落ちる松田氏の映像。

写真の無脳児は昭和42年生まれとある。僕と同い年だ!全体として「アヴァンギャルド」と片付けてしまえる作品なのに、そういったディテールをきっかけにしてどんどんリアルなものとして引き込まれていく。

「これは、どういう意味でございます?」と聞き続けるロープウェー嬢の存在感は、舞台上から観客の意識へと侵食を始め、雑踏を歩いている女の言葉になぜか涙が出る。

このテの、必ずしも特定のスジを追わない舞台は、往々にして見た目のインパクトと自己満足で終わっちゃう気がしていたのだけれど、こういう、総ての要素が舞台の力強さに結びつくようなものを見てしまうと、なんだか、考え込んでしまう。シビれた。

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