2009年2月14日土曜日

スロウライダー クロウズ

11/02/2009 ソワレ

ホラーの物語の作り方としては、素人の僕から見ると、「予定調和」や「やっぱこうくるよ」や「あ、これ、あの映画のパロディね」みたいな撒き餌を散りばめながら、それに上乗せしてドキッ・ぞくっとさせるところに肝があるのかな、と思ったりしている。

今回のスロウライダー、ゾンビもの。小生、ゾンビ映画は名作 "Shaun of the Dead" しか見ていないのだけれど、その映画にもあった、
「ゾンビもののシーンって、なんか、ほんとに危ないシチュエーションなのか、よくわかんないんだよね。画面の中にはゾンビ溢れてるけど、画面の外はどうか、ちゅう話だし。なんか、ゾンビの動きも、ひょうきんといえばひょうきんだしさ。ウソくさいよね」
という、創り手と観客がある程度共有している感覚を舞台に持ち込んできた。

が、演出が意図してか意図せずしてか、この芝居、ゾンビもの物語としてエクストラの「ドキ」「ゾク」を生み出すことはなく、従って、ホラーとしては、最後の落とし方も含めてどうかと思ったりしたが、「これってウソンコだよね」感をかなりひろーく押し広げた舞台で、それがとても面白かった。

県の防疫課の2人の仕事と関係なさそうな素振りと無防備ぶり、小屋のオーナーのゴルフクラブのウソ臭さ、埋葬屋のインチキっぽさ。インチキ医者のインチキな経歴。ゾンビたちのいかにもな登場の仕方。
極め付きが「生涯最高のツボ」!あの紙粘土を生涯最高と呼ぶ(あるいは呼ばせる)のは、ゾンビだから感覚が変なのか、コミューンの周りが気を遣っているのか、ヘリで来たアーパー娘も含めて(今の日本の世相も含めて)みーんな眼がどうかしちゃってるのか、それともこの芝居のプロダクションのカネが足りなかったのか。全く不明。どうとでも取れる。

僕は、「コミューンのみんな、『こりゃダメでしょ』と思いながら気を遣っている」説を採る。

舞台上の人物達がサトルを笑ってよいのか悩んだに違いないのと同様、僕もまた、あのツボにどう反応すればよいのか、困ってしまえば良いのです。

その困り方。ホラーに付きものの予定調和や、舞台上のではけ口の作り方等々、
「ウソンコなんですよ~」
なものがカオティックに散りばめられて、それがぎゅっと着地していかないところに、何となく「劇団の最終公演」な匂いを感じたりしたのである。

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