2009年2月14日土曜日

ちっちゃなエイヨルフ

11/02/2009 マチネ

タニノクロウ演出によるイプセンは「野鴨」に続き2度目の拝見。前回同様、きっちり読み込んで、輪郭をくっきり浮かび上がらせた端正な演出。

「野鴨」はただただ救いがない話を生真面目に綴る退屈感が強かったけれど、この「ちっちゃなエイヨルフ」では、一人ひとりの罪の意識、救い(or 救われた、救われたかもしれないという勘違いなのか妄想なのか現実のことなのか)、前向きさ(と、これはほぼ確実に前向きだと思い込むだけのこと)が織り込まれていて、ラストの、
「本人達は、ちょっとだけ自分が救われている気になっても赦されるのかな、と思い出した」
くらいの着地が、心地よかった。Nick Hornbyの小説の終わり方に、ちょっと似てる。決してハッピーエンドではないが、救いのめもなくはない、というところ。

1987年、紀伊國屋で第三舞台を初めて見たときに、「勝村さんって、いい役者なんだな」と思ったのをとてもよく覚えている。ソナチネを見たときも、そう思った。今回もそう。
タニノ氏の演出をきちんとこなしつつ、その中に秘めている(のか隠してはいないのか)プロレスごっこ魂というか、「暴れたい魂」というか、野性みたいなものが、随所で感じられて、結果、役者間の距離感や身体感覚にウソンコがなくて、ラスト近く、夫婦で手を握り合うシーンがきちんと伝わった。
うずくまるシーンで、突き出たお尻のズボンの下に「黒ブリーフ」が透けたのはご愛嬌。昔から、本番は黒ビキニで気合入れる人、実は結構いる。

とよた真帆、「にっぽんの、じょゆうよぉ!」なのか「西洋風、肉欲万歳!!」なのか、何だか中途半端な気も最初したけれど、ラストに向けてその中途半端な向き合い方が、これまた良い具合に「リタの現実との折り合いのつけ方」に着地して、結果、良し。

勝村さん、とよたさんのキャスティングも含め、これって、演出タニノ氏の勝ち、ってことなんでしょうか?ま、何はなくとも、マメ山田さんは手放しで凄いんですが。

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