13/07/2008 ソワレ
救われる話には救いがない。
精神的外傷のせいで聴力をほぼ失った女性。王子様はその原因の核心に迫り、女性はトラウマから救われる。
むむむ。こんなに簡単にまとめてしまって良いのか。良くないかも。でも、前半、分身が出てきて、フリーライターが王子様に変身したところで、観客としての僕は大団円の王子様のキスと解けた呪いを(イヤイヤながらも)期待する以外に選択肢がなくなってしまったのだ。
物事の解決に向けたアリバイの積み重ねに役者をつぎ込むのは、途方もなく贅沢だけれども、そこに芝居として立ち上がるものは(ほとんど)ない。
そうなると、男優陣(王子様、犬=家来、プレイボーイ、無責任男)のどこに移入させられようとしているのか、どんな風にアリバイのピースとして作 用させられようとしているのか、あとはたま~にでてくる小芝居とか、そういうところにしか目が行かなくなって、なんとも残念な時間となってしまった。
アリバイは不要。小生には、
「本当に聴力が弱いのか、聞こえない振りしてるのか分からない」
「語った過去が本当なのかウソなのか分からない」
「人格に惚れてるのか、耳かきテクに惚れてるのか、分からない」
「女王と犬の話は、ライターが書いているのかヒロインの妄想なのか、はたまた女子高生の妄想なのかその父の妄想なのか、芝居が終わっても全然分からない」
「会社の会長は実はうさぎの耳の後ろの垢を舐めるのが大好きなのかもしれない」
とか、それくらい分からない救われない話で充分だ。
帰り道、「耳かき屋さん」なんて初めて聞いたなあ、と思って五反田から山手線に乗ったら、あったあった、ホームを思いっきり目黒方向に歩いていって、西を見上げると、そのビルには「耳かき屋さん」の看板が燦然とそびえていたよ。
1 件のコメント:
このたびはご来場いただき、ありがとうございました。
東京ネジ「みみ」ブログにリンクを貼らせていただきました。
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
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