2008年7月13日日曜日

燐光群 ローゼ・ベルント

12/07/2008 マチネ

せんがわ劇場初見参。思ったよりも大きな建物で驚く。新しい劇場だけれど、冷たい感じのしない、割と感じの良い小屋だ。

ここのところ、燐光群の芝居は、観に行っては毒づくことが多かったのだけれど、何といっても今回は大鷹明良さんが出演しているので、それを観たかった。そして、それは、ある程度満たされた。と思う。

でも、やっぱり今回も、坂手シュプレヒコール演出が凶と出て、2時間20分、つらかった。いや、そもそも、19世紀末の「自然主義悲劇の最高傑作」と燐光群の本人達は非常に幸福な結婚、でも、いかんせん100年遅かった、ということなのだろうか。

色々毒づくポイントはあるのだけれど、一番大きいのは占部房子の使い方で、正直、2時間強の叫びっぱなし、暴れっぱなし、観ていられず目のやり場 に困った。一言も叫ばず、暴れず、男を舐めたような目つきで、でも、狂気へと進んでいく(われながらなんてチープな!)姿がみれたらよかったのになー、 と、冒頭からずっと思っていた。そして、そのまま終わった。坂手流の「現代テイスト」への改訂も、今回は皮相的に過ぎて苦しかった。

その日他で飲んでいてなるほどと思ったのだが、話のモチーフは去年武藤真弓演出のリーディングで観たファスビンガーの「ブレーメンの自由」に似て いる -社会の抑圧、家族、ジェンダー、宗教-。でも、「悲劇のヒロイン」の見せ方が坂手演出と武藤演出で全然違っていて、正直、村田牧子のヒロインの方 が全然面白かった。

芝居がはねた後、黙って前のめりで早足で帰ろうかとも思ったのだが、Nじさん、Sい君と鉢合わせて、近所でお茶。Nさんの演劇Loveぶりに、ざ らついてばかりの自分が恥ずかしくなった。あぁ、ほんとうの芝居好きというのは、あなたのことを指すのだろう。心が洗われました。で、その場で言い忘れて いてまたもあとで後悔したのだが、「て、の演技、素晴しかったですよ」。この場を借りて申し上げます。だれかNじさんにあったら伝えて。

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