29/04/2008 マチネ
2時間かけて追いかけるヤクザがらみの兄弟愛物語、フィルムノワールならぬ芝居ノワール。下手をすると始まって5分でもう飽きて、後の1時間50分お尻の痛い思いをしかねないプロットだが、2時間堪能させていただきました。
まずは冒頭の旧友再会シーン、ドライブ感のある台詞回しでぎゅっと観客をつかんで、かつ、「この芝居ならどんなに物語が盛り上がってもまかり間違っても面切って声を張り上げて愛を叫ばないに違いない」という信頼感をつくっておいて、そこへ持ってきて
「地元」へのしがらみ・閉塞感と「抜ける・抜けない」のモチーフ、それに暴力の香りを加えて後半へとつなげていく。
クライマックスに掛けての加速感は、何だか、「これ、なにも芝居でなくても、映画でもよかったんじゃないか」的なアナクロ芝居親父感覚をどうして も呼び寄せてしまうし、物語自体はベッタベタなので、いつ途中で「もういいや」となってしまうか心配になるが、演出・役者がよく踏みとどまって、物語の渦 に演技が呑み込まれる一歩手前で2時間持たせてくれた。
演技と平行の「心理描写朗読作戦」はそんなに上手くいってるとは思わないが、でも、それ、台詞と演技で処理したならくどくて長い芝居になりかねなかった気もするので、そこも許すとして、「このテの」芝居としてはまず合格点。
乱暴な比較をすると、シャンプーハットからねっとりと暑苦しい作・演出の主義主張・熱い思いを削ぎとって、人情ものにフォーカスした結果観やすく仕上がった、という印象が残った。
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