2008年4月19日土曜日

庭劇団ペニノ 苛々する大人の絵本

18/04/2008 ソワレ

アトリエ「はこぶね」への入場の仕方、内部の作りこみ、25人限定の客席、客入れでかかる森進一。一言で乱暴に括ると、「あんたもすきねぇ」系の芝居である。

開場前にやましたまことさんと鉢合わす。まさに「あんたもすきねぇ」と言い交わしたくなるシチュエーション、雨の青山。

芝居そのものも、「好きものの」観客に充分堪える内容で、開演から終演まで隙がない。二本の木を見せながらそのメタファーに頼ることなく、豚と羊 の暮す部屋の視覚に訴える有様がいかにもでありながらそこに固執することなく、男の出現を起こしながらその事件に頼ることなく、と、こう書くと、この芝 居、「好き物系」の外見を取りながら、色物にありがちなバランスの破れからは遠く、実はすっごくバランスに気を遣いながら組みあがっているんだな、と気付 く。

いわゆる「あらあら、一体何が言いたかったのかしらねぇ?」な話であるにも拘らず、そこに、観客が勝手に判断するだけの糸を一本残しておいてあげる程度にエンターテイニング。見事だ。

しかも、その時空が、雨の金曜日の青山のふるーいマンションの3階の一室だ、というのも味噌である。試しにぐいーっとズームアウトして、山の手線 内の空間の中を、一箇所、3m×4m×1.8mの寸法で切り取って、そこで「大人の絵本」が繰り広げられる有様、そこから半径10mの球体では、ひょっと すると誰かが金曜日の夕ご飯を食べている有様を思い浮かべると、これまた何ともいえない。あれ?やっぱり「あんたもすきねぇ」なのか?

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