2008年3月10日月曜日

五反田団 偉大なる生活の冒険

09/03/2008 ソワレ

龍昇企画、あなざーわーくすと、花粉症の辛さにもかかわらず本当に満ち足りた幸せな週末、締めくくりは五反田団。やっぱり幸せだった。

小説「グレート生活アドベンチャー」はもう読んでいたから、その小説の一人称の主人公=この芝居の主役、の前田司郎は、もういいや、というところ もあって、実は、加奈子・妹・隣人・その彼女、というところがどう観られるのだろうか、というのが、僕なりの勝負ポイントだったのだけれど、そのポイント を難なくクリアーして、面白い芝居だった。

土曜日に観た龍昇企画の「モグラ町」は、50過ぎてダメダメな男達を描いて秀逸だったけれど、この五反田団は30歳でダメダメな男が、「これから どうなるのだろう」と考えているのかいないのか、いや、考えていないだろう、という話である。但し、「モグラ町」の人々は、もう今更、「ちゃんとしなよ」 といってくれる相手もなく、もはやつべこべ言わずに足が前に出ちゃってたのに対し、この芝居の「村上さん」は、周りから「考えなきゃ」と言われて、いっ ちょまえに考えるフリをしたりするのである。でも、動かない。だから、がむしゃらさに於いて、モグラ町のオヤジどもの方が、むしろ、若々しい。

でも、前田芝居がジジむさいというのではなくて、実は、その、動かないことも、充分、アドベンチャーなのだ、ということは、忘れないようにしない といけない。決められた線の上を動くのも選択、動かないのもまた選択。その動かない選択をどれだけ面白いと思ってじぃーっと眺めていられるかが、前田氏に とっても、観客にとっても、勝負どころである。

アフタートークで、妙に前田氏が優しく、丁寧に、芝居の「物語」について「種明かし的に」説明してあげていたのが印象に残った。ちょっと客層が広がったのを意識して、まるくなったか。

内田慈帰宅発狂シーンで黙々とファミコンをいじり続ける安倍健太郎、ファミコンを不意に覗き込む中川幸子、掛け布団でテント立てる石橋亜希子、秀逸。
でも、ごめん、いちばん美しかったのは、実は、前半、お腹出して布団に仰向けにねっころがって、未来のことなんかだらーっと話しながら、無防備に 天井のほうに視線を泳がせる内田慈さんでした。これにやられた。あの妙に幸せそうな目線は、一体何を考えていたんだろうか、(いや、次の段取りのことなん じゃない?あるいは、灯体の数数えてるとかでしょ?)、などと自問自答を繰り返させる、印象に残るシーンでした。

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