2008年3月6日木曜日

アマネク 終焉ヶ原で逢いませう

05/03/2008 ソワレ

どうもあちこちで拝見した - 「青年団」「東京デスロック」「田上パル」「東京タンバリン」「パラドックス定数」「遊園地再生事業団」というところでお見かけした - 役者が集まっていて、ゆくゆく話を聞けば何だか桜美林オールスターゲーム、といった趣だった。まずは、おそるべし、桜美林。
で、役者の力量が一定程度確保されているとすると、芝居の出来・不出来は作・演出が一身に負わなければならなくて、実は、芝居を観ていても、前半・中盤・後半の出来不出来の波が、ほぼ全面的に(おそらく)作・演出の出来不出来と連動している印象を受けた。

前半30分の布石の打ち方は、大いに改善の余地あり。現代口語演劇の定石にのっとっている様でありながら、実は、
・ 最初の20分間芝居の中心がテーブルから動かず、観客の意識が拡散しない。
・ 細切れにつなぐ台詞が上手なパス回しとなって立ち上がってこないのは、実は「不要な細かいパス」が多分にあるから
・ 第三に、場の時間を流していくドライブに欠ける。
この3つ目の点というのは、この芝居を観ながら改めて思ったのだけれど、決して表立って言わないながらも、非常に巧妙に平田オリザの芝居の中に組 み込まれている要素である。平田戯曲の中で「一見何も起こらない」芝居は、実はないのだ。「待ち人来たる」「ちょっと出てくる」「たまたま出会う」「追い かける」等々、時間を流すためのアクションが必ず織り込まれている。このドライブは、特に前半、観客を引き込むには必要なんだなぁ、と、何だか勉強になっ た。

中盤になって、それでも大枠がつかめてくると、芝居に入っていくことができて、それは、良し。ぐっと集中して見られた。一つ一つの台詞が長くなってくるのが、逆に見易さに繋がって、実は、長い台詞でも疲れないで聞いていられた。

で、終盤、巧くオチがつきそうで、つかない。オールスターに若干気を遣ったのか、中盤でいなくなってそれっきりになっても良い人が戻ってきたりす るのは、実は、中盤の落とし前がきっちりついていなかったからだろうか。まぁ、クラシックでも、「名曲はなかなか終わらない」というから、そういうことな のかもしれないけれど。

全体としては、従って、オールスターのサッカーを観ているようだ。そのこころは、個人技は見苦しくないし、パスもそれなりに出ているのに、最後、ゴールに繋がらず。調子の悪いArsenalもそんな感じだ。
現代口語演劇の定石を一度取り払ったところから始めて、芝居のドライブ感を乱暴に前面に打ち出してみても大丈夫な気はする。この役者陣、最後はク サい芝居にならないように仕上げてくれる面子だとお見受けしたのだが、どうか。大丈夫。昨夜のWenger監督の一見乱暴な選手交代も、見事に実を結んだ のだから。

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