2007年4月29日日曜日

電動夏子安置システム 抜かりない奴らに、ジレンマ。

28/04/2007 ソワレ

去年から気に入っている「パラドックス定数」に出ていた役者2人が出演、ということで、大塚まで出かけた。事前に上演時間を聞いたところ、2時間 30分。またもイヤーな予感がしてしまう。昼の黒テントも2時間30分。昼夜あわせて5時間も芝居小屋にいるのかよ。あんたもすきねぇ、と、自分に突っ込 んでみても寂しいだけなので、そこは端折って芝居について語ると、これが、開けてびっくり2時間30分最後まで観れてしまった。

「どどど企画」「デスロックの再生」「流山児事務所の鼠小僧」「モダンスイマーズの回転する夜」に引き続き、この芝居も現在・過去・未来ビデオ テープ巻き戻し再生もの。1回の店舗・2階のアパート・その間にある屋根裏の三層ウェハースで繰り広げられる時間の入り繰り・役柄の入り繰り・コンテクス トの入り繰りは、作者もかなり力入れて書いたんだなと思うし、ドリフの忍者屋敷を思い起こさせて懐かしく、楽しい。仕掛け自体はかなり成功している。

で、この仕掛けがどの方向に向かっているかを考えると、デスロックの「繰り返しの中の裂け目作戦」でも、天野天街の「アングラ繰り返しナンセンス お客様サービス作戦」でも、モダンスイマーズの「時間の螺旋巻き戻しクリスマスキャロル作戦」でもない。うーんと考えたのだけれど、やっぱり、ドリフの忍 者屋敷以上の理由付けは浮かんでこなかった。

なぜか?
・なぜその巻き戻しにみんなで付き合う必要があるのかの動機付けが、話自体として甚だ弱いから。(但し、その場その場が楽しければそれはそれで良し)
・「違う」ことの判断基準が、「きっちり同じ」なのか「キュー台詞」なのか「全体の印象」なのかが不明確。要は、「もし本当にこんなことが起きたら、例えばこれはどうよ?」という細かな想像力と作りこみが足りないから。
・まぁ、そもそも、細部のリアリティは無視をして(おそらくかなり割り切って)芝居を作っているから。そこが芝居というよりもコントっぽい。
・巻き戻しのきっかけが「首後ろガックン」は、駄目でしょう。分かり易くはなるかもしれないが、興ざめ。

ネガティブなコメントを並べたけれど、それは、
「ネガティブな部分を割り切ってしまえば、後はドリフの忍者屋敷として楽しめた」
ということを言うためで、屁難しいことや説教臭いことを言い出さない限りにおいて、このショーは、非常に面白い。

ただし、2時間30分は、長い。
トイレは大丈夫だったけれど、お腹が減った。終演後のセールストークにイライラしてしまう(僕は空腹時にはかなり機嫌が悪くなります)。もっとシーンを削ってインパクトを際立たせることも十分可能。

次回以降、上演時間が2時間切ったらまた出かけようかな。でも、結構皆さん、毎回長ーい芝居を楽しんでいらっしゃるようで、またも「愛される芝居とは何か」について考え込んでしまったことですよ。

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