2007年4月6日金曜日

青年団 別れの唄

05/04/2007 ソワレ

異文化との出会いやすれ違いやコミュニケーションの不成立・成立する一瞬、といったモチーフは、実は、もうそれだけで一本芝居がかけてしまって、 Royal Hunt of the Sun とか 赤鬼 とか、往々にしてそれだけピックアップして悦に入る向きも後を絶たないのだが、その点平田オリザという男は良く考えていて、そこに、フランス人の妻の葬式 を日本でたてる、という設定を嵌めてくる。

宮沢章夫さんがどこかで、「平田というヤツはリアルというところで大胆なすり替えを仕掛けてくる」というようなことを言っていた気がするが(間違っていたら御免なさい)、それはこの芝居でもLaurent Gutmannとのコンビで存分に発揮されていて、
・リアル以上に低い鴨居
・リアル以上に広い部屋
・実際の時間通りには動いてないのに30分毎に律儀に鳴る掛け時計
特に、この、掛け時計が刻む時間の伸縮自在な様が、「なんてズルイ仕掛けなんだ」と思わせる。

フランス人役者の「足」で遊んで見せたのはGutmannのフランス人観客へのサービスなのだろうが、残念ながらFrancoisの靴下に穴が開いてるのには長い間気付かず。

本当に、60年代後半のマイルスのクインテットのような、美しく編まれたアンサンブルである。役者が何を演出から要求されているかについて自覚的 である限りにおいて、どの言語で演じられているかはほとんど関係が無い。厳しく作っていることと、しなやかに柔らかに出来上がることとは両立しうるんです な。

残念なのは、やはり「字幕」に眼が行ってしまうことで、その間はどうしても役者の動きの面白さが追えない。
おそらくもう一度観に行くだろう。そして、字幕なしにもチャレンジしてみようと思ってます。

あと、いちゃもんつけるとすれば、「オチの無い話」の「多用」かな。手を変え品を変え、5回ぐらい使ってたと思うんだが、それはどうか。この20 年間、オチのない話のオーソリチィであると自他共に認める小生をして、ちょっと多いかな、とは思いました。でも、そういうオチのない話ネタって、フランス 人には面白いのかな?

芝居の後に飲んだ酒も、異様に楽しかった。月曜日以来何かとふさぐことも多かったのだが、金曜の朝起きたら全部吹っ飛んでいました。

あれ、言うの忘れてた。本当に良い芝居です。フランスに興味の無い人も、必見です。日曜までです。

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