2007年4月15日日曜日

乞局 媚励

14/04/2007 ソワレ

僕はきっと、下西氏の芝居が、嫌いです。
いきなり、「良い悪い」でなくて「好き嫌い」で入ってしまうのは、この、乞局という劇団は、クサくないし、役者も良いし、勘違いも(多分)していないし、設定も悪くないし、話の落とし方も悪くない。
声を大にして、「これはダメだ」とは口が裂けてもいえない。

加えて、念のために言うが、「後味の悪さ」自体は、それはそれで構わない。

それでは一体何が気に食わないのかを考えてみたが、一言で括ると、
「過剰を見せるための過剰」
ではないか、と考えた。言い方を変えると、
「裂け目が観たい、とは確かに言ったけれど、その裂け目を目の前に突きつけて『うらうらうらぁ、この裂け目、眼ん玉かっぽじって見開いて見らんかい!!』って見せられてもなぁ」
という感じかな?

例えば、パンツを嗅ぐのは、それは、それで、良い。パンツ舐めても、それは、それで、良い。でも、それが毎度毎度性欲と直結するのは、あまりにもあられがない。
不倫も酒浸りもヒステリーも、芝居の構成要素として立派に作用している。作用するのだから、逆に、抑え目に出してもOKな気がするのだが。
うーむ、要は、僕は、「チラリズム好き」ということなのか?

それは否定できないだろう。だって、僕がそうした「裂け目」に接して時々とてつもなく感動する瞬間は、どう誇張したって、2週間に1度もない。2週間に一度?それは、起きてる時間18時間×14日=252時間、のうち、ほんの1秒だよ。
252時間のうち1秒のことを、1時間40分のうちの何十分にもわたって押し込まれようとすると、僕はきっと「しつこい」と感じるのだろう。
そこらへん、平田オリザはずるい。出し惜しみすることで、逆に「リアルに近い」という錯覚を生み出しているので。1時間30分で2度3度、ってのも、まるっきり虚構なのだ。

それだから僕は言う。「下西氏の芝居は嫌いです」と。
裂け目は小出しに、短く。それが僕の好みです。ガバ股開きは、趣味じゃない。

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