2016年7月26日火曜日

Now We Are Here

23/07/2016 15:00 @Young Vic

前後半それぞれ45分。前半はUKに住む移民の男性3人が、どのような経緯で現在に至ったかを語る、実際のインタビューをもとに再構成したverbatim。後半はTamara McFarlaneによる書き下ろしの女性独り語り。

前半のverbatim、3人の物語はそれそれが十分に魅力的だった。東アフリカの戦火を逃れてUKにやって来たものの、職も居場所も見出だせずに途方に暮れるマイケル。パキスタンに生まれ、父親と弟からの暴力に晒されながら、そこから自らのアイデンティティを確立した末に現在に至るミーア。ジャマイカからやって来た、ガンの発見と同時にホスピスという居場所が確保出来てしまうという皮肉な目に遭うデズモンド。こういうキツい話についてインタビューで話すことの出来る強い人格にはシビれる。また、そうした話を、お涙頂戴に落とさずに構成してみせる手腕にも、いつも、verbatimの芝居を観ると思うことではあるけれど、敬服する。

ただし、この再構成、巧拙を問われれば、どっちかといえば、拙かなあ。何故この3人なのか、とか、3人の物語が、時系列としては重なっているような、重なっていないような、その中で、芝居として立体的な構造を為すように構成されていたかというと、そこは疑問。

後半のモノローグは、やはり、verbatimと比べると「作った台詞だなー」というのが率直な感想。物語の流れも、様々な描写も、すらすらと、磨かれて、淀みなく。物語を聴きに来た人には後半の方が耳に優しかったかも知れないが、筆者にとっては面白味に欠ける、ちょっとロマンチックが勝ちすぎのパフォーマンスだった。勿体ない。

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