2016年7月23日土曜日

That Catholic Thing

14/07/2016 19:30 @Camden People's Theatre

この日にCamden People's Theatreに行ったのには、芝居そのものへの興味とは別のイシューもあって、友人の演出家Sさんと、Camden People's Theatreがどんな小屋かを確かめに行こうよ、ということだったのである。もとはパブだったこのスペース、大体50−60人くらい入ると満腹感があるぐらいのキャパシティで、スタジオっぽさがちょっと日本の小劇場を思わせる。時に外を通る車の音が丸聞こえなのが難点だが、昨年観た男2人芝居"God has fallen and all safety gone"がとっても良かったものだから、Sさんにも、役者少人数でやるんならちょうど良いんじゃないかと思って紹介したわけである。ここの小屋のラインアップを一見しても、色々新しいことを受け入れてくれるような気もするし。

で、開演時刻を迎えたのだが、Sさんは現れず。

前評判がさほど高いわけでもなかったこの芝居を独りで観る羽目になったのだが。予想よりも面白かった、という感想。

カトリックの信心深い妻(妊娠中)と無神論者の夫。夫がある夜見た夢をきっかけに神様にのめり込んで、預言者を名乗るようになる。疑ってかかっていた隣人や村の神父も、ベーコンサンドイッチのベーコンに映るキリスト様の像を見て、これはほんまもんの奇跡だという話になり・・・という話である。
まあ、途中で大体予想がつくというか、ありきたりというか、物語自体に驚きはない。途中に出てくる、預言者ものならではのエキセントリックな行動・台詞も、特にそれらをもって面白いとか下らないとか、そういうことをいうほどでもない。 

でもね、気になるのは、作者のAnne Bartramがこの戯曲について、「自分のカトリック信者としてのバックグラウンドと経験を題材として」書いたとしている点。それって、この芝居は、彼女のカトリックの教義や信仰、日々の儀式に対する見方を照射した結果だ、ということで、正直、信者でない自分には、そこをどう受け止めれば良いのかは曖昧なままだ。でも、彼女の言うことをそのまま取るとすれば、カトリックって相当しんどいよね。中学生の頃、ある日曜日の朝、カトリックのミサに「お試し気分」で入ってみたら、とっても怖くなってしまって、「自分はカトリック信者にはなれないし、何かを信仰することも無理!」と確信した瞬間を思い出す。
しかも、この、Anne Bartramという人は、骨髄腫で余命幾ばくもなく、最後の願いが、自分の書いた芝居がロンドンで上演され、レビューが全国紙に載ることだって・・・
作者にとってはしんどい作品なのだろう。それを「ありきたり」と感じてしまう自分もどうしたものか。と思ってしまう。

このCamden People's Theatreは、おそらく、もっとスタジオのように使って、ものを置かずに演技スペースを取った方が良いのではないかな、と思った。やはり、小さい小屋に小さいセットはどうしても貧乏くさく見えてしまうので。

Sさんは、早く着いてしまったので近所を散歩してたら戻って来られなかったんだそうだ。下手ではけ口と観客の入場口がほぼ一緒の場所にあるので、開演してしまうと絶対に途中入場できない作りになっているのです。終演後に無事にロビーで落ち合って、飯食って帰りました。

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