2016年7月16日土曜日

Open for Everything

18/06/2016 19:30 @Royal Court Downstairs

ロマ(日本語だとジプシーといった方が分かりやすいかも知れないが)のパフォーマー15人を中東欧各国からオーディションで集め、それに韓国・ドイツ等の「西側の」身体の良く動くパフォーマーを加えておくる90分。歌、語り、踊り、時としてちょっと説教臭さが鼻につくスキット。最後まで飽きずに観た。

目を奪われたのはやはりロマのダンサーの中でも身体の動く男の子達。独特のリズム(筆者は最後まで拍子が取れなかった)に乗せたダンスが、技巧は凝らしてもしなやかで、スカして見えず、印象的だった。だけれども、最も格好良かったのはバンドの面々。キーボード、ドラム、ベース、バイオリン、ギター。クレズマーっぽいバンドが「クレズマー、やりまーす」ではなくて、飽くまでも舞台をドライブする手段として音楽を鳴らし続ける。楽団は舞台の上方、雛壇の上からダンサー達を観ながら、ダンサーの熱量に合わせて演奏の熱も上下動させる。オッサン達の舞台のうねりの差配に、シビれた。ドヴォルザークの「新世界より」のアレンジにも、シビれた。

今の欧州でロマの置かれている立場と状況を考えれば、客席からこういうショーを素直に楽しんでしまって良いのか、という疑問も無くはないけれど、良いんだ。楽しめば。舞台上のパフォーマー達は、踊れる者も踊れない者も、少なくとも「自分たちは、居る」ということを強烈にアピールしていて、それ自体が最早政治家に委ねるにはあまりにも政治的だ。それをそのまま受け取れば良いのだ、と開き直って楽しませていただいた。

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