2016年7月24日日曜日

Ex Machine/Robert Lepage / Needles and Opium

15/07/2016 19:45 @Barbican Theatre

ケベックが誇る、いや、カナダが誇る大御所、Robert Lepageの有名作品(1991年初演)。とはいうものの、小生はLepageの名前にも作品にも、全く縁がないままここまで生きてきたから、先入観はない。Time Out誌に「とにかく舞台装置だけでも観に行け」とあったのでのこのこ出かけていったのだが、確かに舞台装置は凄かった。

キューブの6つの面のうち3つを切り取って、3つの面を残して、それを回転させながら、「壁」「床」「天井」の役割にもローテーションを掛けていく。役者はワイヤーに吊られ、壁にもたれてこらえ、劇場の床に飛び降りながら、その空間に立ち、それを横切り、演技する。

その効果は、先ず、こけおどしとしては相当のものだし、格好良いし、洗練されているし、段取りの数も半端ないだろう。でも、その舞台装置の効果が全面的に報われているとは思わなかった。極端な話、舞台を回さずに、素舞台で役者が語ってるだけで十分説得力を持つ芝居は、他にいくらでもあるのだ。そこから始めてはいかが?と思ってしまった。

冒頭から、誰が誰に向かって話しかけているのか、焦点が定まらず。1991年の初演時にはLepage自身が演じたそうだが、その方が観ていてしっくりきたのかも知れない。役者が演じるLepageと、Cocteauと、役者自身との入れ子が、今一つ立体感を持って立ち上がってこなかった。Lepageが大西洋のあっちとこっちで仕事をする様と、Cocteauの北米での体験、Miles Davisの1949年パリツアーでの体験が織り合わさって、時間と大西洋を飛び越えた世界が拡がっていくのを期待していたのだけれど、思いの外、キューブの外に拡がりを持たずに終わってしまった。

Lepageのフランス語・英語バイリンガルならではの愚痴大会は可笑しく観たけれど、Miles Davisのパートは、(役者は変な思い込みがなくて良かったものの)相当キレイに抽象化された(殺菌された)Miles Davisになっていて、正直、Milesのパートは眠たかった。この間観た映画Miles Aheadで観た、Don Cheadleが演じるMilesの方が、余程か地上の人間として、Opiumならぬコケイン吸い込む必然性を感じさせたと思う。

総じて、大御所の舞台を拝観させていただいた、だけに終わってしまったかな。

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