2016年7月14日木曜日

The Threepenny Opera

04/06/2016 14:00 @National Theatre, Olivier

Rory Kinnearは決して悪い役者ではないのだろうとは思うのだけれど、何の相性が悪いのか、昨年Young Vicで観た「審判」に引き続き、今回の三文オペラもパッとしない。何と言っても、オペラを銘打っているにもかかわらず、歌のパートになると苦しそうに見えるのが辛い。演技しているときは細かいところまで丁寧に演じて決してダメな役者ではないのに、丁寧に台詞を喋っている分だけ、歌になるとどうしても余裕のなさが見えて、ニュアンスが死んでしまうのが苦しい。

National Theatreのプロダクションで三文オペラを上演するからには、予算も取ってあるし意匠も凝らしてあるし、そこは十分に見応えがあった。回り舞台やせり上がり、櫓も建てて、時にはパネルのプチ屋体崩しから3階建て階段まで、豪華かつ効果的。バンドの使い方も上手だった。乞食社長が出てくるシーンはダイナミックで、唐組の舞台を思い出すし、マックの手下の若い衆は三人組の原点じゃないか!と思われるような活躍ぶりだった。ただし、そうした面白味が、どうも一定のレベルまでのおとなしさ・収まりの良さに収斂していて、弾ける感じには至らず。トータルでも合格点取ってハンカチで汗を拭いてみせる、優等生なできあがりになっていたのが残念だった。

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