2016年5月9日月曜日

X

09/04/2016 19:30 @Royal Court Theatre, Downstairs

前作Pomonaが好評だったAlistair McDowall の新作SF。今回も時間のシークエンスを崩してバラして、時空をドンドン針飛びさせて、付いて来れない方はそれでも良い、みたいな、まんま80年代日本の小劇場演劇、っていう仕立ては前回通り。但しもちろん、UKには野田さんはいないので、フィジカルな舞台に流れるんじゃなくて、「台詞劇」「物語劇」チックなUK芝居の伝統の延長にあることもまた、間違いないのだけれど。

前作Pomonaは、マンチェスターの中心部の地下深くに、巨大な赤ん坊工場が隠されている、という設定だった。

今回の芝居、Xの登場人物は、地球との連絡が途絶えた冥王星の基地に取り残されたイギリス人隊員たち(何故そこにいるのが全員イギリス人なのかはきっちり説明台詞が用意されていて)。75時間の昼と75時間の夜を繰り返す冥王星の日々、連絡の途絶えた地球は滅亡してしまったのか、火星はどうなのか、果たして助けは来るのか、来ないのか。

うーん、なんだかありがちだなー、しかも、そういうシチュエーションだけ取り出して芝居を組み立てようっていったって、そこで止まっちゃうんじゃ、畑澤さんのロボむつには問題意識と想像力の広がりにおいてとてもかなわないよなぁ、とは思うけれど、まぁ、30にもならない若手の作家なので、そこら辺りはお目こぼしして楽しもう。

物語の展開としては、萩尾望都とソラリスを足して3倍に薄めてって感じだろうか。とにかく、出だしのシーンが3流映画でがっかりするのだが、途中、「おお!これは良いシーンだな」と思わせるところもあって、「このシーンで始めててくれれば、もうっと面白く観れたはずなのに」と、あらぬ注文も出したくなる。そうしたアップダウンに一喜一憂しているうちに二幕2時間超、飽きずに観終わっていた。

隔絶された閉じられた場所を舞台にすると、そんなに行動のバリエーションが期待できるわけでもないので、あとは台詞・演出、そして役者の力量次第。必ずしも全てが上手くかみ合っていたとは思わないけれど、そしてむしろアラも目立つ作品だったけれど、2時間半、大いに堪能した。

この間トラファルガー・スクエアで観た「4分12秒」での突っ放した演技が光っていたRia Zmitrowiczが、この作品でも超いい味を出していて、筆者としては、こういう役者がきちんと評価されて大きな役でも演技が変わらないで成長していく、っていうのを期待したい。

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