2016年5月13日金曜日

The Truth

06/05/2016 20:00 @Menier Chocolate Factory

昨年来、The FatherとThe Mother、2本の認知症を描いた芝居が大きく評判をとったフランスの劇作家、Florian Zellerによる最新戯曲は、ウソがウソ呼ぶフランス艶笑噺。いやいや、笑った笑った。最後の最後まで、いや、芝居がはねた後になっても、誰が本当の大ウソつきなのか、真相は分からないのだけれど、それはそれでとても素敵なことで。

二組の夫婦、夫同士は20年来の親友。一方の夫ともう一方の妻が浮気中、でも、どうやらお互いのパートナーが薄々勘づいているらしいと思い当たり始めたところから話が展開して、あとはもう、細かいところには思いっきり目をつぶって、その場その場の登場人物の追い込まれ方と丁々発止のやりとりを、理屈抜きで楽しんだ。

でもね、ウソをついているのか、本気なのか、ウソをついている振りをして誤魔化そうとしているのか、相手に鎌をかけているだけなのか、その種明かしの演技を絶対しないように押さえ込みながら、答が分からないようにきちんと演技が出来るっていうのは相当の技量がある証左で、そこにこの芝居の見応えがある。4人の達者な役者の中にあっても、その巧拙がさになってでていたのは、幾分残酷な気もした。

芝居のにおいとしては、城山羊の会の芝居から死の香りを取り去った感じ。ただし、商業演劇に近いところでかるーくエンターテイニングに演じられてもちっとも面白くないだろう。やはり、城山羊の会とか、そういう、力のある役者がきちんと虚実取り混ぜて、チープな観客サービスを排除して演じたときにぐぐっと立ち上がる芝居なんじゃないかと思っている。ん?そう思うと、山内ケンジさんの芝居は、そんじょそこらのUKの芝居と比べても全然面白いって事なんだよ。そうなんだ。納得。

筆者が勝手にお薦めする日本語版のキャスティングは、石橋けい、岡部たかし、岩谷健司、永井若葉の4人で盤石。あるいは裏番組として、佐野周二、佐分利信、岸惠子、淡島千景。

0 件のコメント: