2016年5月4日水曜日

The Father

26/03/2016 14:30 @The Duke of York's

昨年、Bathで初演され、その後ロンドンのTricycleでも大好評、ウェストエンドに移ってそこでも大成功し、小屋を変えて今年まで上演の続いた大ヒット作。残念ながらUKの作家ではなくフランス人による戯曲の翻訳だけれども、2度目の観劇にも十分に耐える質の高さ。主演のKenneth Crahamはこの役でオリビエの主演男優賞を獲得、それも当然と思わせる。

Tricycleの上演からは、主演と看護士役の女優を除いて、(キーとなる娘役も含めて)役者が殆ど入れ替わったこのプロダクションだが、これだけ戯曲が良くて、かつ演出のコンセプトがしっかりしていると、役者が変わったぐらいでは芝居の屋台骨がぐらつかない。むしろ、娘役の役者のトーンが、Tricycleで観たときの「一見お節介でウェットにも見える娘像」から、「ドライで時に突き放したようにも感じる」印象へと変化したのを、ポジティブに楽しめた。

それにしても、父親の主観と「神の視点」の客観を見事に組み合わせながら、本筋から逸脱せずに観客をぐっと引きつけて、正解を示さずともメッセージががっちり伝わる見事な戯曲。
大いに堪能した。

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