2009年1月13日火曜日

東京乾電池 秘密の花園

12/01/2008 ソワレ

この芝居にまだ席が残っているとは、とても信じられない。

と言いたくなるくらい、良かった。冒頭、戸辺俊介・柄本明の2人の視線がぶつかってから暗転まで、そして、高尾祥子の最初の台詞。ここでもう、小生涙だだ漏れ。来て良かった。冒頭2分で生きてて良かった。

どういう演出をつけているかは知るべくもないけれど、唐演出の唐戯曲よりも、角替演出の方が台詞が頭に流れ込んでくる感じ。唐組を観てる時は「あぁ、ぼくらを唐ワールドに連れてって!」となって流れに身を任せてしまうんだけど、そういう無理矢理なジェットコースター感を取り払ってもなお唐戯曲は力強く、角替演出は地に足の着いたリズムでスズナリの中に台詞の世界を刻印していった。

赤ちゃん言葉の高尾・戸辺のやりとりは、ねっとり感とさらっと感が絶妙に交錯して、「かもめ」で観た角替さんの変態な絡み振りが頭に浮かんでくる。また、ラスト近くに紐引いて再登場する柄本さんの眼!「ジェニー」で観た、メークの下から覗くとんでもない眼!

雨が叩きつけるシーンで上手の黒いバケツがずっと見切れてたり、雨が叩きつけてドアが開いちゃったり、そういうアラはご愛嬌ということにして、心から楽しんだ。

終演後舞台挨拶で、柄本氏が初演のアキヨシだったと知り、ちょっと驚いた。いちよ・もろはは緑魔子さん当確として、戸辺氏のあの上半身の傾き具合は、石橋蓮司さんの傾斜角だよ、と思っていたので。

こうやって書くと、懐メロ風に面白がってたと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、いえいえ。唐戯曲の素晴しさを、唐演出のケレン全開テント芝居を離れて味わう絶好の機会としてお奨めします。

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